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ウエムラトシキの本当の正体

カオルたちを見ていたイエズラは焦りながら言う

(なんだと、サンジェルマン殿、ヤツが、殺したアヤツが私のそばにいるとでも言うのか)

イエズラは立ち上がると大声で言った

(ウエムラトシキよ、貴様、本当にこの場にいるのか、いるなら姿を表わせ、もう一度地獄へ送ってやる、出て来い、ウエムラトシキ)

しかし、トシキが姿を見せることはなかった

イエズラは怯えながら椅子に座ると光る水晶球を見て言う

(サンジェルマンめ、またくだらぬ事をほざきおって、事か済んだらタダではおかぬぞ、アヤツ)

そう言いながらゾッとした

魔族に落ちたとはいえ、やはりもとは一人の女性であった

サンジェルマンは言う

(魔界女王よ、ウエムラトシキがなぜ、イエズラを見ていてなぜ、イエズラに気配を悟らせぬのか、それはだな、彼の本当の正体が人間ではないからだよ、わかるかね)

カオルたちは驚愕した

カオルはワナワナと震えながら厳しい顔をして言う

(サンジェルマン、アンタ何馬鹿なことをいってんの、だいたいどこの世界に自分を殺した相手を救おうなんていうヤツがいるのよ、
どんな神様よ、それ自体ありえない)

と言いながら額には汗をかき、生唾をゴクリと飲んだ

サンジェルマンは言う

(しかしそれが真実なのだ、魔界女王よ、そもそも神は慈悲ぶかいのであろう、ま、甘すぎるがね、私に言わせればな

ウエムラトシキは確かに人間ではない、彼はこの世界に転生した神、名前をクシティガルバ、またの名を地蔵菩薩と言う、魔界女王よ、ソナタははじめから彼に出逢う運命だったのだ)

カオルは言葉がでなかった

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