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503 天河たちの特訓の成果?

ここは空の上。

『こやつら、里でも我の背中に乗ったはずなのだがな。なぜまた寝るのだ?』
またまた気絶したドワーフたちに、不満を口にするアルコン様。メンタル鍛えるにはどうすべきか···

『ほっほ。イヒカ様の美しいお姿に、びっくりされたのではないですかの?』
『ほっほ。それに聖域でのアルコン様の真のお姿は、全くもって格別ですからのぉ。改めて驚いたのではないですかのぉ』
『ほんに、神々しいお姿は、ワシらも何度見ても拝みたくなりますからの』
『ほんにのぉ』
『『ありがたいことですの(ぉ)』』
アルコン様とイヒカ様と並び、飛びながら拝む器用なじぃじと亀じぃ。もちろん亀じぃは、じぃじの頭の上。

『拝みたくなる。ではなくて、拝んでますわね』
〖蒼も青磁も、もう慣れたかと思っていましたがねぇ〗
少し呆れるリノ様とエル様。

『人型のアルコン様には慣れましたがの』
『やはり真のお姿は特別ですのぉ』
『『ありがたいことですの(ぉ)』』

『拝むな』
結局、拝むじぃじたちに、ムスッとするアルコン様。

『ふふ、お気持ちはわかりますよ』
『おお、分かってくださいますかの』
『では、お仲間ですのぉ』
『『ほっほ』』
『ふふ、そうですね』
イヒカ様もじぃじたちの仲間に加わった!

『勘弁してくれ』
アルコン様、おつかれなお顔。

〖まあまあ、それより、そろそろ聖域から出ますよ〗
『ああ。そうだな』
エル様とアルコン様の顔がひきしまる。

『あの、エル様、私まだこちらに来て数日ですが、来た時より聖域が広がっておりませんか?』
リノ様が言うと

〖そうですね。日々、少しずつ広がっているようですね〗
エル様も同意する。

『やはり、神が三柱もいらっしゃるからでしょうか?』
〖それもあるでしょうが、サーヤや、精霊王たち、何より住人たちの心が綺麗だからでしょうね〗
『なるほど。みんなが誰かのためにと思ってますものね。納得ですわ』
〖そうですね〗
リノ様もエル様も笑顔で、聞いていたみんなも笑顔で納得。

『···どうでもいいけど、そろそろ叩き起こそうか』
『そうですね。魔物が出てきましたね』
『···そうと決まれば』
『起きて下さい』
けりけりっ
『『『うううっ』』』

そう言って、寝ている天河たち男衆を蹴り蹴りしているのは、大地と水影。

『ほら、あなた達も起きなさい』
『晴嵐、これ、くすぐっていい?』
『いいわね。私もやるわ』
『『せーのっ』』
こちょこちょこちょこちょ
『『『うひゃひゃ』』』

そう言って、藍たち女衆をくすぐっているのは、晴嵐と月花。

『『『ななな!?』』』
『『『何すんだい!?』』』
がばっ

『···あ、起きた』
『まったく、なぜすぐ寝るのですかね』
『ほらほら、あなたたち早く起きないと』
『魔物の上に突き落とす』

『『『え?』』』
『『『ご、ごめんよ』』』
精霊たちの冗談···『何言ってるの?本気』脅しで起きたドワーフさんたち。

『まったく。初めてじゃあるまいし、毎回寝なくてもいいだろうが』
アルコン様がぼやくと

『い、いや、すまんです』
『見たこともない色のエルクが』
『空を飛んできたもんで』
『それにアルコン様も里で見た時より輝いて見えて』
『そういや、なんかすごく可愛い声もしたよね?』
『そうだね。なんか背中にちっゃい羽が生えてた可愛い子を見たような?』

ドワーフさんたち、だんだん思い出して来たみたいです。

『その白いエルクは私ですね。イヒカと申します。背中に羽のある可愛い子とは、私の天使、鹿の子ですよ』にこにこ
自己紹介しながらも相変わらずの親バカぶりを発揮するイヒカ様。どうやら鹿の子を可愛いと言われ機嫌がいいらしい。

『え?』
『飛んでる』
『やっぱり』
『夢じゃなかった』
『あ、もしかして』
『イヒカ様も?』
呆然としながらも何かにたどり着いたドワーフたち

『そうですよ。私も娘も、サーヤに名前を頂いたのです。この翼はその時からですね』

『『『やっぱり』』』
『『『すごいね、サーヤちゃん』』』
妙に感心しているドワーフたちに

〖さあ、おしゃべりはその辺でそろそろ降りますよ〗
『そうだな。この辺りは森が鬱蒼としているからな。我がこのまま降りられる場所は無さそうだ。高度を下げるから飛び降りてもらうぞ』
エル様とアルコン様が容赦なく、飛び降りろと···だが

『あ、ああ』
『分かった』
『特訓の成果を見せないとな』
『風の妖精たち』
『頼むよ』
『力を貸しとくれ』
ドワーフさんたちは、割と落ち着いてます。

『りょーかいっ』
『でも~』
『ちょっとかすだけだよ』
『じぶんたちのちから』
『ちゃんとつかわないと』
『だめだからね?』
『『『だよね?』』』
『『『せいらんさま』』』
妖精さんたち、しっかりもの!

『その通りよ。あなた達はあくまで力を貸すだけ。基本は藍たちが自分で頑張らないとね』

『『『おう』』』
『『『分かってるよ』』』
この数日の、スパルタ特訓で、常時体に魔力を纏うことはマスターした天河たち。飛び降りるため、風の魔素を取り入れ、風を纏う準備をする。

『よろしいですか?ここはもう聖域の外。普通に魔物がいますわ。魔物の視界や、気配察知に引っかかれば、たちまち襲われます。気を引き締めて、何時でも対応できるようにしてくださいませ』
リノ様が忠告します。

『分かってるよ』
『魔法の発動』
『武器も準備してる』
『そうだね』
『森の中でも使えるやつ』
『このために鍛えてきたからね』
ドワーフさんたちも気合いが入ってます。

『じゃあ、行きましょうか』
『そうですね。行きましょう』
『···アルコン様』
『あのあたり、いる』
精霊たちも魔物の気配を感じているので、その辺を示す。こちらも何気にスパルタ•••

『分かった。さあ、行け』

『『『『『『はい!』』』』』』

バッと、アルコン様の背中から飛び降りる天河たち。それと同時にアルコン様も人型をとる。

風をまとい、速度を落としながら辺りを警戒するドワーフたち。
まずは短弓を構える藍さんたち女衆。すると、木の上から何かが飛んでくる。それを天河たち男衆が、魔法や盾、ガントレットを纏った拳などで叩き落としている。藍さんたちが木に向かって弓を次々と放つと、何かが叫び声を上げて落ちていく。

〖ふむ。試し打ちにしては、中々ではないですか〗
『そうだな。だが、フォレストエイプは一匹の力は大したことは無いが、群れになると厄介だぞ』

そう。木の上にいたのは猿の群れ。魔力を乗せて硬さと速さを増した石などを投げてきているのだ。だから、男衆は守りに徹し、女衆が短弓でエイプを狩っているのだ。

『そうですわね。でも藍たちも無駄打ちはしてませんわね。あの速さで外してませんわ』
『ほっほ。矢にもきちんと魔力を纏わせてるようですの』
どうやら、エイプ相手には合格点をもらえたようだ。だが、

『ほっほ。エイプは問題なさそうですのぉ。それよりも』
『ええ。待ち構えてますね。大物が』
『···大丈夫。天河たちも気づいてるよ』
〖そうですね。あの目は獲物というより、既に素材として見てるようですけどね〗

エル様が呆れている通り

『ふはは。でっかい蛇革だぞ』
『傷は最小限だぞ』
『理想は首をスパッと一撃だけどな』
『んじゃあよ·····』
『そうだな』
『それで行くか』
『『『ふははは』』』
何やら相談してます。笑い方が悪人?

『楽しそうだね』
『蛇だけじゃないのにね』
『なら、うちらは肉をサーヤたちの土産にしようかね』にやあ
『『賛成』』にやあ
旦那も旦那なら奥さんたちだって···怖いですよ。その笑顔。

すととととっ

危なげなく着地すると、いよいよ

『よっしゃ!頼むぞゴーレム!』

天河が地面に手を着いた途端、三体のゴーレムがイビルヴァイパー、邪悪と言われる蛇のしっぽを押さえ、毒液を吐き出そうとする口を、下から顎を殴りつけ、頭を抑え込む。
そう。特訓の成果!一度に複数のゴーレムを作れるようになったのです。

『よくやった』
『あとは任せろ』
そこに短剣にそれぞれ風と水の魔力を纏わせた、天青と天藍が走り込んで、スパッスパッと一気に首を落として、呆気なく蛇革ゲット!

そして、
『やっぱりジャイアントボアだね』
『なら簡単』
『ほら、こっちだよ』
女衆の相手は三匹の巨大猪。わざと鼻っ面に弱いファイアーボールを当て、全速力で自分たちの方に突進してきたところに、
『『『ほらよっ』』』
ジャキンッと、分厚い鉄の壁を錬成。激突したジャイアントボアは呆気なく倒れた。
『よっしゃ。肉ゲットだね。このくらいなら』
『ゴーレム呼ぶ程じゃないからね』
『とっとと回収しちまおう。さっきの猿もね』

なんとも、頼もしくなったようです。

『···アルコン様やイヒカ様見たら気絶するのにね。ぷっ』
大ちゃん、辛辣。


その頃、聖域では

「おいちゃんおいちゃん!きょうは、おにくまちゅり!」
『肉?海鮮祭りじゃないのか?』
「う?しょりぇは、こりぇかりゃ?」こてん
『なんじゃそりゃ?』

サーヤが肉の気配を感じ取っていた。

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