プロローグ
最初の頃は貴方のことがよくわからなかった。いつ話しかけても、ちゃんと答えてくれなかった。
けど皆んながいなくなってから少しづつだけどわかった。貴方は本当は強いんだって。やる時は本当に凄いんだって。
2人きりになった最初の頃は貴方を励まそうと、私ね元気に振る舞ったけど本当は必要なかったね。それに結局私が辛かったのもバレちゃたし。でもそんな私を逆に励ましてくれた。
ねえ、なんで君はそんなに強くいられるの?なんで自分を犠牲にしてまで私のことを助けてくれるの?
貴方が私のファンだから?それとも仲間だから?私にはわからない。けど、すっごく嬉しかった。けどつらかった。私にも重みを背負わせて欲しい。貴方と一緒がいい。
もう私、貴方が居ないとダメな女になっちゃた。責任とってよ。先にいなくならないでよ。一緒に帰るて、約束したじゃん!
また貴方のためだけのライブしてあげるから、またたくさんおしゃべりしよ。たがら置いて行かないで!
『早く!早く!座席につけ!もう離陸するぞ!おい!降りるな!』
アメリカ人のルーカスが私に戻るよう伝えてくる。
『ダメなの!若田が戻ってきてない!』
もう直ぐロケットが上がるタイミングなのにまだ若田は中国の宇宙飛行士と銃撃戦をして居る。
『あいつはダメだ!戻れ!お前も死ぬぞ!』ルーカスは催促してくる。
『いや!若田が居ないなら私も行かない!行くの!』
『く、くそ!三分間待ってやる』
私はロケットから降り砂嵐の中を行く。
『若田! 若田!どこに居るの?』
私は無線で呼ぶ。
『……は、は、ここだ……撃たれた。駄目だ、先に……』
ヘルメットのガラスに若田の座標を知らせるピンがだった。
私は走る。砂嵐で足元が見えない。なんだも転びながら向かう。
『ゴテ、プシュー』
私は岩にヘルメットをぶつけてガラスにヒビが入り空間が漏れる。
『警告、警告、空気漏れを確認、直ちに……』警告音がヘルメット内で鳴り響く。それでも手でヒビを抑えて進む
『若田、若田ーどこ?』
息苦しい。
ピンは消えてここあたりだと知らせる。
けどどこに居るのかわからない。砂嵐しか見えない。だんだんと意識がもうろうとし倒れる。
ふわふわと三ヶ月前のあの平和だった日を思い出して来る。今そんなことするより探さなくちゃいけないのに。