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ナギ(2)


「着いたな」

 四人でショッピングセンターの入り口をくぐる。

「ミミ、暑くないの?それ」

「ん、そうだね。外すか……」

 ミミがイヤーマフを外して首にかけた。ミミは夏場でも、猛暑でもない限りいつもイヤーマフをしている。寒がりな上にお気に入りなモノらしい。

「どこから行こうか?駄菓子屋?ゲーセン?」

「お腹すいたし、駄菓子屋に一票!」

「どちらでも」

「私もどっちでもいいよ」

「じゃあ駄菓子屋で!」

 ミミは嬉しそうな顔で先頭を歩き、反対にテルは少し不服そうな顔で私の隣を歩く。
 平日とはいえ、ド田舎に唯一のショッピングセンターなのだから人は多い。小さい子供をつれた母親もよく見かける。

「ナギはまたいつもの買うの?」

「うん。アイもたまには買って食べてみたら?」

「そうね。たまにはいいかも」

「へえ、珍し」

 テルが言った通り、アイがお菓子を買うことはほとんどない。真面目な性格だから買い食いするのに抵抗があるのだろうか。

「そうだ!私が奢るよ」

「いいの?」

「うん。さっきのお礼」

 三人でミミの背中を追う。ゲーセンではテルがウキウキで、駄菓子ではミミの目がキラキラしている。これはいつものことだ。

「……」

 前を見るとミミが立ち止まっていた。

「どうしたの?ミミ」

「あの子……」

 ミミが指さした方向を見ると、小さい子供が一人、端の方で泣いていた。

「どうしたんだろう」

「迷子なんだって」

 ミミが言う。

「よく分かるな」

「あ、いや、そうじゃないかなあってさ」

 ミミが一人でその子の所に駆け寄っていった。

「私たちも行きますか」

「そうだね。アイ、迷子センターの場所とかって分かる?」

「えっと、待ってね」

 アイが館内マップを確認しに行く。

「あっちはアイに任せて……って、びっくりしたあ」

 いつの間にかミミが泣いている子の手を引いて目の前に立っていた。

「その子は何だって?やっぱり迷子?」

「うん」

「今アイが館内マップ見に行ってくれてるからちょっと待ってな。迷子センターの場所を……」

「大丈夫だよ。お姉ちゃんがすぐにお母さんを見つけてあげるからな」

 ミミが迷子の子供と目線を合わせて頭を撫でてあげる。ミミの行動のおかげでその子は泣き止んで小さく頷いた。

「場所分かったよ。こっちからエスカレーターで降りて……」

「おいっ!ミミ?どこ行くんだよ」

 アイが進もうとした方向とは正反対にミミが歩いてく。迷子の子供の手を引いて、自信ありげにスタスタと。

「とりあえずついて行こうよ」

 三人でミミの背中を追う。さっきと同じだ。
 一つ違うことがあるとすれば、ミミが子供の手を引いていることだ。

「……」

 不意に立ち止まったミミ。

「見つかったのかな?」

「さあ?」

 小さな子の手を引くミミは本当のお姉ちゃんみたいだ。ミミには弟か妹はいるのかな?
 そういえば私たちはこれだけ一緒にいるのに、お互いのことをまだよく知らないのかもしれない。

私たち三人はミミに駆け寄った。

「ほら。お母さん見つかったよ」

 ミミが優しく言う。その言葉を聞いて迷子の子が顔を上げ、嬉しそうな顔をしてお母さんらしい女性のもとへと走っていった。

「よかった」

 母親とその子供が一度、深くお礼をした。

「それにしてもよく分かったな、ミミ」

「ほんとにね」

 この人の多い館内、それに母親の顔も見たことがないであろう状況でミミはすぐにその母親を見つけた。まるで最初から母親の場所を知っていたかのように。

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