入学許可証、お金、実演
「えーっと……? フランセット魔法学校? 校長、マキナ・デウスギア? この度フランセット魔法学校への入学を許可されたこと心よりお喜び申し上げます? 先生、フランセット魔法学校ってどこなんですか?」
「魔法を学ぶことができる学校です。つまりあなたは魔法使いなのですよ、アリッサ」
「私が……魔法使い? それって、本当?」
魔法学校というのは、魔法使いの子どもたちが魔法を学ぶために作られた学校です。
魔法使いなどではない(少なくとも魔法使いだと気づいていはいない)一般人である私達でも「魔法学校」という存在自体は知っていますが、どこにあるのか、どんな名前なのかといった詳細まではわかりません。
そして、魔法使いたちも詳しくは話さないのです。
まあ、魔法使いの大体が『山や森の奥深くで日々魔法の研究に勤しむ』という生活を吉としているのであまり人前に出ないというのもあるのでしょうが。
「そうですよ。試しに、ここで魔法を見せましょうか?」
「はい、見せてください!」
「わかりました。それでは、その手紙を渡してください」
私は「はい」といって手紙を渡します。
アリシア先生は手紙に杖を向け呪文を唱えると、手紙は急激に宙に浮き上がりました。
「これが……魔法? すごい! ……そういえば、お金はどうするんですか?」
私は父親……ケインに虐げられて育ってきました。当然、お金などはありません。
正確にはマッチを売って手に入れたお金はあるのですが、それもすべてケインの酒になってしまいました。
要するに、無一文というわけです。
「それは安心してください、あなたのような境遇の子供は何人かいますしね。母親の残した遺産といったものはありませんが、あなたのような境遇の人たちはマーリン基金という基金から学費をもらいます。そしてフランセットは全寮制であり、衣食住についてのお金は心配いりません」
「それならよかった……」
「安心してくれたなら、それでよかったです。もうそろそろ遅いので、私は魔法学校の方に帰ります。それでは」
そういうとアリシア先生はパチンという音と一緒に消えます。
おそらく、家からカエデメイアまでもその魔法できたのでしょう。
部屋には、私だけが取り残されます。
私ももうそろそろ眠たくなってきたので、眠ることにします。
ベッドに入ると、気持ちよさで眠ってしまいました。