458 ハクの爪のお手入れ
「ふえ?」
『は?』
ジーニ様なんて言ったのかな?
〖だからね?浄化に癒しに強化に守護って所かしらね?〗
ジーニ様ったらぁ、しれっと答えるけど、内心はため息つきまくりよね~。などと思って結葉様はジーニ様のとなりでにやにや。
「んにゃ?」
なんで?何もしてないよ?
『サーヤ、おまえ何やらかしてんだ?』
そんな、かわいそうな子見る目で言われても~
「さーや、ちりゃにゃい」
どうしてかな?
『まあまあ、だからねぇ?ハクの爪でも、私みたいになるならぁ、ハクは魔法を使いやすくなるしぃ、爪も強化されるかもしれないでしょう?』くすくす
サーヤのブラッシングを見て、なんで色々付与されたのか見当がついている結葉様。
きっと爪も同じよねぇ。どうしよう笑っちゃうわ~。と思いながら説得するとサーヤたちは
「ほえ?」
『なるほど』
それってつまり?
『ぼく、もっと強くなれるかもしれないってこと~?』
そうだよね?
〖そうよ。ただ、誰がやってもそうなるのか、凛だからなるのか知る必要もあるわね〗
『だからねぇ?やって見てくれなぁい?』
〖何かあったら対処できるように私もここにいるわ。まあ、間違いなく大丈夫でしょうけどね〗
あら、いい反応かしらぁ?と思ってジーニ様と一緒にもう一押ししてみると
『そっか~えへへ。ぼく楽しみになってきたな~。サーヤ、おいちゃんよろしくね~』
「あ、あい」
『あ、ああ』
お~なんか、大事になって来ちゃった?
『良かったわねぇ。ね?ジーニ様ぁ』
言ってみるものよね~
〖そうね。結葉が勝手に話を進めてるのに気づいた時は、ぎょっとしたけどね〗
『あらぁ、結果が良ければいいじゃなぁい?』くすくす
〖まったくあんたは〗はぁ⋯
ジーニ様ったら、案外心配性よね~。うふふ
『ん~じゃあ、やってみるか。でも、サーヤできっかな?力ねぇぞ?』
「ふぎゅっ」
そ、そうかもしれない。でもサーヤまだ二歳だもん!力持ちだったら逆に怖いもん!
『まあ、そうだよな』
そうだよ!
『あらあらまあまあ、磨くだけならそんなに力はいらないんじゃないかしら?コツはいるけどね。あら、でも、爪切りとか使うなら力がいるかしら?』
ん?
「おばあちゃんっ」
『なんだ、フゥは終わったのか?』
おばあちゃんが、いつの間にやら来てました!もふもふの世界にようこそ!
『終わったわよ。フゥならほら、あっちでおかみさんたちに見せびらかしてるわよ』
「ほえ?」
見せびらかすって?
『見てください!つるつるです!』
『見てる見てる』
『わかったわかった』
『少しは落ち着きな』
あ~ほんとだねぇ。おかみさんたちはあんまり相手にしてないみたいだけど
『あらあらまあまあ、サーヤったら特等席ね。ハクちゃん、私もいいかしら?』
おばあちゃんがハクをなでなでしながら聞いてきました。ちょっとお疲れ?
「う?もふもふ~♪はく~」
おねがい♪
『いいよ~。おばあちゃんおつかれさま~』
ハクはしっぽをふさふさ揺らしてお出迎えです。
『あらあらありがとう。ハクちゃんはいい子ね』
『えへへ~そうかな~?』
うんうん。ハクはいい子だよ!もふもふだよ!
『よっこいしょ。はあ~あぁ、ハクちゃんったら気持ちいいわぁ。もふもふねぇ。ずっと埋もれていたいわぁ』
そうでしょそうでしょ?もふもふもふもふ!エッヘン!
『ミアはこのまま埋まる』
あれ?みあちゃんもいつの間に?ピョンッて、あっという間にハクの背中に埋もれて見えなくなっちゃった。
『それで、ハクちゃんの爪だけどね、まずはゲンさんにお手本を見せてもらいましょ。それで、そのあとにゲンさんに教えてもらいながらやってみたらいいんじゃないかしら?』
「お~しょりぇ、しゃいよ~」
それなら少し安心!ハク痛い痛いしたら大変だもんね。
『採用って⋯まあ、たしかにその方法が妥当かな。ん~じゃあ、どうすっかな。お座りしてくれたら楽だけど、明らかに無理だな』
うんうん
『「む~り~」』
おばあちゃんとはもっちゃいました。
ぴゅいきゅい『『ハク、うごいちゃだめだめ~』』
だよね~。ハクが動いたらもふもふソファーがなくなっちゃう。
『そうだよね~』くすくす
ほら、ハクもそうだよねって
『仕方ねぇな。じゃあ、よっこらしょ』
ごごごごっ
「う?」
『あらあらまあまあ』
ぴゅいきゅい『『おお~』』
『あはは~地面がベッドになっちゃったね~』
地面がサーヤ達をそのまま持ち上げちゃった!
『んで、俺の椅子作って、足が台の下に入るようにして、道具を置く台をこっちに作って』
ごごごごごっ
『よし。こんなもんかな』
おお~たしかにこれならサーヤたちもおいちゃんも楽ちんだね
〖まったく、息をするかのように魔法をホイホイと〗
『外の世界じゃもっと小さい魔法を使うために詠唱や媒体まで使うのにねぇ。うふふ』
あっ、また結葉様がおばあちゃん化してる!
『『サーヤ?』』にこにこごごご
「あ、あう⋯」
し、しまった。おばあちゃんと結葉様がダブルでにこにこ
『サーヤ、おばかだな』
おいちゃんひどい⋯
『おいちゃん、はやくはやく~』
『お、おう。そうだな、悪い悪い。じゃあ、始めるか』
ハク、ナイスだよ~
『まあ、ハクはよく動いてるから、やっぱり長さはそんなに切らなくてもいいな。形は⋯ジーニ様、ハクも斬撃とかするのか?』
おいちゃんがジーニ様に確認です。
〖するわよ。フェンリルですもの。ハクもギンもたしかに魔法を使うけど、爪での攻撃は必須ね〗
『そうだよな。じゃあ、丸みはつけなられないな。もっと鋭利にもできるけど、どうする?サーヤたちが危ないか?』
『む~。ぼくサーヤたちに怪我させたりしないよ~それに爪はちょっとなら出し入れできるよ~』
ハクには珍しくちょっと怒ってる?むっとしてるのかな?でもハクはいい子だから大丈夫だよ!
『すまん。ハクがサーヤたちを怪我させるとは思ってないぞ。ただ、サーヤがな、何やらかすか分からないからな?』
『ああ~そういうことかぁ。大丈夫、ぼく気をつけるよ~』
『そうか。ありがとな』
『ううん。任せて~』
「うにゅ?」
おいちゃんもハクもどういう意味かな?なんか、もしかしてサーヤが何かすると思ってる?しないよ!
『あらあらまあまあ、サーヤ、頑張りましょうね』なでなで
「あう⋯」うりゅ~
おばあちゃん?なんかすごく目がかわいそうな子見る目?
〖ま、まあ、今回はあまり形は変えずに整える位にしておきましょう〗
『そうねぇ、効果がどうなるか知りたいっていうのが一番だからねぇ』
結葉様とジーニ様、サーヤへの思わぬ飛び火に、軌道修正。
『そうだな。じゃあ、やるか』
『わ~い。どうなるかな~♪』
ハクはしっぽをふさふささせて、おいちゃんに身を任せてます。サーヤとおばあちゃんはおいちゃんの手元をしっかり見てます。おいちゃんは
『ハクの爪の血管や神経はこの辺までかな、傷つけないように気をつけて、一気に切らずに角度を変えて、出来れば三回位で⋯』
ブツブツ言いながら形を整えてます。というか、そのギロチン式の爪切りはいつの間に?
『ん?牛小屋のわんこ達がその内必要になるかと思ってな?作ってたんだよ』
へ~。
『巻きすぎた爪はないな、地面をしっかり捉えられるようにしないとな。おお、凄いなさすがフェンリル、狼爪が退化してない!』
ろーそー?
『狼爪はね?現代の犬はほとんど使わないから小さくなってたり、元から生えずに生まれてくることもあるのよ。でも、この世界は狩りをしたりするから、しっかりあるんでしょうね』
へ~そうなんだ~。夢中で見てるおいちゃんの代わりにおばあちゃんが説明してくれました。
狩の時に動物さんをろーそーっていう爪で押さえつけるんだって。すごいね~
『爪を切った所はヤスリでちゃんと整えてやらないと、自分の体を掻く時に自分で自分を傷つけてしまうこともあるから、自分の指で引っかかるところが残ってないか確認してやるんだ』
それは大変!サーヤのせいでハクが痛い痛いしたら大変!!気をつけなきゃ!
『ねぇ?ジーニ様ぁ』
〖何かしらぁ?結葉〗
『やっぱり使ってるわよねぇ?』
〖使ってるわねぇ〗
『何かしら?あの【眼】ぇ』
〖鑑定と透視かしらね~?なんか、混ざってるかしら?〗
『じゃあ~爪を切った瞬間流れたのはぁ?』
〖治癒でしょうね~。出血しないように?〗
『やっぱりぃ?じゃあ、爪を研いでる時に流れ込んでるのは何かしらぁ?』
〖保護と強化かしらね~?怪我をしないように、爪が痛まないように?〗
『そう。ハクすごいわねぇ』
〖本当ねぇ。体も爪も完全武、装⋯〗
〖『⋯⋯』〗
『⋯ジーニ様ぁ?』
〖⋯何かしら?〗
『ジーニ様も気づいちゃったんじゃなぁい~?』
〖あ~言わないで⋯気づきたくなかったわ~〗
『フェンリルのもうひとつの武器、牙』
〖あ~、ねぇ〗
『作るのよね?あれ⋯』
〖でしょうね~〗
『どうなると思う~?』
〖ああ、考えたくない~〗
『やっぱり~?』
〖『はあ~あぁぁぁ』〗
自分たちで検証を頼んでおいてまた別の可能性に気づいてしまったジーニ様と結葉様たち⋯
さあ、次はサーヤたちの番だよ!できるかな~?