313章 食事後
4人はご飯を食べ終える。
「お肉を食べたかった、お魚を食べたかったよ」
サクラは食後になっても、肉、魚を食べられなったことをぼやいている。肉、魚に対する思いは相当強いようだ。
カスミは満足そうな表情を浮かべていた。
「とってもおいしかった。毎日食べられるといいな」
シンプルな食事の中に、母親の優しさを詰め込まれていた。アカネにとっても、大満足の食事となった。
「カスミさん、ありがとうございます」
「サクラさんのおかあさんの手料理は、本当にすごいですね。カスミも同じレベルに、到達できるようになりたいです」
「カスミンは料理できないの?」
アカネの質問に、カスミは簡潔に答えた。
「飴、バナナだけの生活を送っていたので、料理をする機会はありませんでした。料理スキルは、地を這うレベルです」
料理できないのではなく、料理をしてこなかった。飴、バナナだけの生活を送ったことで、調理スキルは格段に下がった。
「ちょっとずつ料理をして、おいしいご飯を作れるようになりたいです」
「カスミン、料理の練習をしない?」
「どこで料理の練習をするんですか?」
「うちでやってみよう。うちにはいろいろな食材、調理器具がそろっているよ」
カスミは首を横に振った。
「アカネさんの家は、全自動を採用しています。調理スキルを磨くことはできません」
「そうだね・・・・・・」
フライパンに具材を並べるだけで、自動で調理をする。料理スキルを磨くには、不向きな環境といえる。
サクラは二つの瞳を、カスミのほうに向けた。
「カスミさん、お肉を食べさせてください」
サクラの視線は、アカネのほうに向けられた。
「アカネおねえちゃん、お肉をおごってください」
肉をねだる子供を、母親は厳しくしかりつけた。
「サクラ、恥ずかしいことをしないで」
サクラの母親は、最敬礼よりも深く頭を下げる。
「アカネさん、カスミさん、本当にすみません」
子供のしたことを尻拭いさせられる。親というのは、損をする生き物なのかなと思った。