第3章の第45話 くじ引きと、謝罪と謝辞
【ファミリア星立総合運動公園陸上競技場】
その後、星王アンドロメダ様は、アイちゃんの意見を聞き入れて、代理人を立てるのだった。
代理人に任命されたのは、地球人類の難民達の目にも、見える、聞こえる、3英傑の3柱から選ばられた。
言い出しっぺのアイちゃんを初め、ガノスさん、ティフさんが順当に選ばられて、補佐役としてアリエル、ボルクス、ボルゼニアがつく。
んっ? 星王アンドロメダ様の護衛だって?
そんなものは必要ないとばかりに、一蹴したのだった。
さすがだ。
それに習って、星王ガニュメデス様も、護衛の2人に命じられた。
男性の人はアラン、女性の人はアプリさんだ。
そして、ブリリアントダイヤモンド女王様も、それに習って、護衛の2人に命じられた。
ソーテリア星人は、各惑星との交流は乏しく、ファミリアは、以前はあったが滅亡した歴史があるため、その種族数は少ない。
その2人は人みたいな肉つきではなく、まるでそう、鉱物生命体のようなであった。
男性の人はルビーの鉱物生命体ルビア、女性の人はサファイアの鉱物生命体サフィさんだ。
ここでわかりやすくまとめると。
アンドロメダ星からは、アイ、ガノス、ティフの3人に、補佐役としてアリエル、ボルクス、ボルゼニアがつく。
アクアリウス星からは、アラン、アプリ。
ソーテリア星からは、ルビア、サフィ。
――そして、今、地球人類難民達に呼びかけているのは、ティフさんだ。
その壇上には、スバル、アユミ、クコン、クリスティの姿があった。
『聞け――ッ地球人どもッ!!! これよりお前達を3つのブロックに分ける!!!』
「!?」
【――その宣言に驚く地球人の難民達】
【この場には他に、プレアデス星からの見届け人と、アンドロメダ星の各TV局の方々も駆けつけていた】
【使っているのは、主に4種類】
【1つは、カメラ付きゴーグル】
【1つは、腕時計型携帯端末のエアディスプレイ画面を通しての、リアルタイム映像】
【1つは、無人航空機を通してのリアルタイム映像】
【そして、最後の1つは、今上空を旋回している宇宙船を介してのリアルタイム映像だ】
【これが各方面の宇宙に発信されるわけだ】
【だから僕達は、言葉を選ばなければならなかった……】
【緊張が走る――】
「……」
僕は黙って、前を見据える。
【アンドロメダ星が、ソーテリア星が、アクアリウス星が、プレアデス星が、他の宇宙に住む宇宙人たちが、目撃者であり、生き証人だ】
【この実況生中継の通して、関心の目を向けていた】
「……」
「……」
「……」
「……」
「……」
【こうなる事は必然だった】
【あの時、スバルとLは、宇宙の法廷機関の場を通して、宣誓を誓った】
【だから宇宙中の関心の目を集めた】
【今、僕達に、注目が集まっている】
「……」
ゴクリと喉ならす。
【あの時、プレアデス星から派遣されていた宇宙船には、プロの開拓者(プロトニア)様達が乗船していた】
【請け負っていた任務は、極秘ミッション】
【全宇宙を納めるプレアデスファミリアは、すべてのファミリアの頂点に立ち】
【他すべてに、この状況を報せる責務と義務がある】
【すべてだ】
【だから、この実況生中継を通して、すべての宇宙の関心の目を向けていた】
【ただし! ここで含ませてもらうが、すべてとは言ったが、一部だけは伏せさせてもらう。それは、民間人には明かせない極秘ミッションも多分に含まられているからだ……】
『誉れと思えよ!! これからくじ引きを行う!! その班の代表者は前に出て、くじを引いてもらう!! それがお前達の移住先だ!!』
『なお!! 3つのブロックに分ける前に、世界保健機関(WHO)、宇宙航空研究開発機構(JAXA)、医者などはこちら側の判断で、3つのブロックに等分させてもらう!!』
「!?」
これには難民達一同、聞いていない事なので、ザワザワとざわめき合う。
とここでティフさん達が、僕に。
『混乱するのはわかっている!! だが、こちらも考えがあっての事だ!! これから、お前達の地球人の代表が、その説明をする!!』
「!」
「!?」
【やはりというべきか、それは定めというべきか、ティフさん達は、この時、僕に振ったのだ】
【それは、越えなくてはいけない、試練だ】
【多くの難民達は、壇上に現れた僕を見て、驚きをかう】
【当然だ、僕はまだ小学生なのだから】
「……」
「……」
「……」
「……」
【この時、カメラ付きゴーグルをつけた人が、エアディスプレイ画面を向ける人が、無人航空機が、宇宙船が、僕の一挙手一投足の動向を伺う】
【注目が最高潮に達する――】
(……できるかな……?)
「……」
不安を覚えたスバルは、アユミちゃん達を見て、強く頷き得た。
「ハァ……」
【と呼吸を吐いて、気分を落ち着かせる】
【………………】
【これにはもう、なるようになれと諦念するしかない】
「……………ッ」
【僕は、難民達に見えるように壇上の最前列に立つのだった――】
☆彡
『――皆さん聞いてください!!』
「おいっあれガキじゃねーか!?」
「何であんなガキが出てくんのよ!?」
「小便臭そうなガキじゃねーか!?」
「せめてイケメンを出せ――ッ!!」
「おもらししてろ――!!」
「パッとしねーな!!」
『……ッ』
散々な言われようだった……。
『……』
振り返った僕は。
「がんばっ!」
「やればできる!」
「男を見せて―!」
アユミ、クコン、クリスティさんの3人に。
「君が通る道だ」
「誰だって最初は緊張するわ。ただ今回は、その最初のハードルが極端に高いだけよ」
『高過ぎだ……!!』
ヒース、シャルロット、スバルと述べて、その声が大きく周りに漏れたのだ……ッッ
カメラ付きゴーグルをつけた人が。
エアディスプレイ画面を向ける人が。
無人航空機が。
宇宙船がそれを納める。
「スバル、声が漏れてる……よ」
「スバル君……」
「……」
L、デネボラ、レグルスと述べて。
アンドロメダ王女様がアドバイスを行う。
「スバル、周りの者達を……」
『……』
「その辺の石ころだと思え」
『……石……』
僕は、アンドロメダ王女様にそう諭されて、後ろに振り返り。
地球人の難民達を、その辺の石ころだと思うのだった。
(石、いしいしいしいしいし、意志……!)
僕は難民達を石ころのようなものだとイメージした。
「………………」
『………………』
よし。
「「「「「ザワザワ」」」」」
『……』
落ち着いた僕は、コクッ……と小さく頷き得て、語り出す。
『――あの日の事を覚えていますか?』
「「「「「?」」」」」」
『僕達、地球人類の夢と希望を乗せた宇宙探査機が、この星に向けて、飛び立ったあの日です……――
……。
僕は、うちでTVで見るなり、エアディスプレイを通して視聴していたのを覚えています。
……。
内容は、地球人類が惑星移住ができるどうか。
次元トンネルを通して、遠く離れたアンドロメダ銀河で、地球人類が移住できる星を探すことを、テーマとしていました。
……。
あの日の調査内容を、……覚えていますか?』
「「「「「………………」」」」」
【静かに語りかける】
【心に、世界に、宇宙に、浸透するように……――】
『すべての事件のきっかけを作ったのは、他でもない、『私達』地球人類です』
「「「「「……」」」」」
『これだけは履き違えてはいけません。目を背けてはいけません。
……。
あの日、あった事故を覚えていますか?
そう、この星で――』
この壇上から、どこかを見やるスバル。
その方角は、あの海上都市タラッシーポルティだった。
「……」
「……」
「……」
街頭を行き交う人たちは、足を止め、見上げた姿勢でそれを伺う。
マンションで視聴し。
または工場で視聴していた。
『無関係な民間人を傷つけ、この星にいらしていた多くの人達に迷惑を被り、あまつさえその人生を奪い、命を落とした人もいました……。
……。
……誠に申し訳ありませんでした。……地球人を代表して、謝罪させてください
………………
………………
………………』
【僕は、この場を借りて、頭を深く下げて謝ったのだった……】
【ここしか、謝るタイミングがなかったから……】
【――顔を上げた僕は、スピーチを続ける】
『僕は皆さんより、先に、この星にきて、現地調査を行いました。
僕の足が向かった先は、件の事故現場――そう、海上都市、タラッシーポルティでした。
ドームに大きな穴が開き、いくつものビルは半壊し、路上には痛々しい赤い血の跡がありました。
……。
泣き悔やんでいる人。失った故人に謝っている人。怒りを持ち、悔しさでものに当たる人。献花……花束を故人に贈る人。お酒や、せめてもの供養でお供えをしている人達を見ました。
……。
許してくださいなんて言いません。
だからせめて、罪滅ぼしをさせてください。
……この通りです
………………』
再び謝るスバル。
――僕は顔を上げて。
『――その後、アンドロメダ様達と一緒に、見て回った事があります。……ほんの短い時間でしたが、忘れてはならない教訓です。
………………』
★彡
――あの日の回想
【海上都市タラッシーポルティ】
『かってその場所は、地球からの宇宙探査機が、傷害事件を起こした事故現場であり』
『僕達は、その場所を訪れていました……――』
『事故現場は、小さな瓦礫片や小さな窓ガラスのような跡があり』
『当時の光景を、今も残していました……』
『………………』
『今もです。そこに暮らしている人達とボランティア活動の方、現場に偶然居合わせたプロトニアの方々によって、清掃されても』
『当時の光景を、今も残しているのです』
『………………』
『僕は、少し歩きました』
『そこには何があったと思いますか?』
『ビルの瓦礫片が路上に落ち、偶然下に停めてあった自家用車を大破させていたのです』
『中に乗車していた人は、死亡――』
『あの大きさは、重機の機械の力が必要であり、手配はまだされてませんでした』
『焼け焦げた車の中には、きっと名も知らない人が乗っていたのでしょう』
『僕は、添えられていた献花を見ました』
『辺りを見ると、半壊したビル群に、破壊された跡の景観が、今もまだ、その当時の情景を物語っていたのです――』
ザッと足を運ぶものがいた。
「………………」
その人物達は、スバル達であった。
「……」
スバル(僕)の目に映ったのは、穴が開いた跡の半壊したビル群だった。
「……」
少し歩いただけで、まだほんの小さなガラス片が回収できずにあって、光の屈折率によって、キラキラしていた。
「……」
現場の道路には、血痕もあって、傷害事件があった事を物語っていた。
「……」
僕は俯き、考えさせられた。
「………………」
沈黙の間が流れる――
『その凄惨な事故現場に訪れた僕は、憂鬱になっていきました……』
『……そう、きっかけを作ったのは、僕達なんです……』
「!」
そこへシャルロットさんが、歩み寄ってきた。
手に持っているのは、献花だ。
ヒースさんは思うところがあって、俯き、考え込んでいた。
きっとプロのプロトニアの人だから、こうした現場には幾度か立ち会っているのだろう。
「……」
「……」
僕はシャルロットさんの手から、献花を受け取り、
お供えしてあったお酒、飲み物、お菓子、果物、そして、たくさんの献花の近くに並べた。
「………………」
僕は手を合わせて、黙とうを捧げる。
そして、その後、その場を離れた。
その近くには、アンドロメダ星人や他の宇宙からの人達がいて、きっとご遺族の方もいたのかもしれない……。
――リムジンタクシーに乗って移動する社内では。
「……スバル君、あの事故現場を見て、……どう思った?」
「………………」
流れる沈黙。
そして、僕は答える。
「酷いものですね……。
……。
怒り、嘆き、悲しみ、憤り……突然故人を奪われたんです……。
……」
僕は、悔しさで、もどかしさで、自分の組んだ両手を握りしめる。
「……悔やんでも悔やみきれません……。……この原因を作ったのが、他でもない、僕達地球人ですから……。だから、誰が先か、その原因を作ったのは……」
「……」
「……」
僕の問いかけにシャルロットさんが、アンドロメダ王女様が。
「きっかけを作ったのは、他でもない、僕達、地球人です……」
回想終了――
☆彡
『――きっかけを作ったのは、僕達地球人です』
「~~! ~~!」
「……」
この言葉に地球人類の難民達が聞き届け、ざわめきが起こるが、誰かがそれを納め、鳴りを潜め、静まりかえっていく……。
「……」
「……」
「……」
「……」
カメラ付きゴーグルをつけた人が。
エアディスプレイ画面を向ける人が。
飛び回る無人航空機が。
上空を浮遊している宇宙船が、それを納める。
そして、派遣されたプレアデス星人たちの会話では。
「女王様……」
『面白い事になってるわね……』
「……」
『ひっそりあの子について、その状況報告を後日、あたしに教えなさい』
「はい……」
それは腕時計型携帯端末を通して、プレアデス星の開拓者たちは、その星の女王様と連絡を取り合っていた。
「……」
「こんなすごい現場に立ち会えるだなんてね……」
「ああ、あいつ今、宇宙中の注目の的だぜ」
「あいつの名前、なんて言ったけ?」
「えーと確か……」
そんなやり取りがあったのだった。
☆彡
『――今、皆さんをこうして、全球凍結する地球から、ここアンドロメダ星まで派遣してくれたのは、他でもない、そのアンドロメダ王女様たちの御力添えがあってこそなんです』
「……」
「……」
聞き届ける難民達に。
頷き得るアンドロメダ王女様達。
『紹介します。アンドロメダ王女様たちです』
「……」
「……」
「……」
「……」
「ザワザワ」
「おい、見えないぞ」
「どうなってんだ!?」
「新手の嫌がらせか!?」
『今皆さんの目に見えないのは、アンドロメダ星人達の中には、エナジーア生命体といって、光の肉体を有しているからなんです!』
「「「「「!?」」」」」
『今、皆さんの目には見えません!! ですが、僕の言葉を信じてくれるなら、後日、『特別な機械』を配布する事を、ここに誓います!
それは僕達、地球人類でも見えるようになる『特別な機械』です。
見える、聞こえるだけではありません。
他の宇宙の言語もわかり、同時通訳を行える機械です!』
「「「「「ザワザワ、ザワザワ」」」」」
『もちろん、僕の言葉を信じない人たちもいるでしょう』
「……」
『ですが、そんなあなた達の中にも、なんとなく気配でわかる人たちもいるはです』
「……」
ザワザワと話し合う難民達。それは情報交換を行っている証拠だ。
「あと、こう言えばわかるかな? こう横に並んだ時、空白になっている人の列があるはずです。……そこに確かに実在しているからです!』
「「「「「!?」」」」」
「フッ」
笑みを深めるスバル。
そこへデネボラさんが空中浮遊してきて。
『……? なに? デネボラさん?』
「ヒソヒソ、ヒソヒソ」
『うんうん、あーなるほど……』
この時、デネボラさんは、僕の耳元で何かを耳打ちしたのだ。
それはアドバイスだ。
その後、再びデネボラさんは、距離を置くのだった。
☆彡
『――皆さんは、『スペクトル』という言葉をご存じでしょうか?』
「「「「「!?」」」」」
『『スペクトル』とは、要するに光の波長です。
僕達地球人類の目は、『可視光線』と呼ばれる光の波長の範囲までしか捉えられません。
それぞれ、赤、オレンジ、黄、緑、水色、青、紫といった光の波長のラインです。
でも、この可視光線の前後には、波長が短くて危険なものと、波長が長くて比較的安全なものがあります。
それぞれ、宇宙線、ガンマ線、エックス線、遠紫外線、近紫外線ときて、可視光線です。
次に可視光線から、比較的安全な近赤外線、遠赤外線、ラジオ電波、音となります。
これを光の波長のラインと言って、『スペクトル』と説きます。
まぁ、波長の範囲の『電磁スペクトル』とも言えますね!
……。
だから、あなた達の目には見えないのです。
だから、それを可能にする機械が、先ほど『私』が言った、『特別な機械』に当たるわけです』
「………………」
少年の説明は、詳細でとてもわかりやすかった。
それは自分達にしても、知り得ている情報だったからだ。
「おい、それなら知ってるぜ!」
「ああ、何か前にTVで見たことあるよな!?」
「じゃあ、あの子が言っていることはホントなの!?」
「マジィ!?」
「じゃあ、光の宇宙人っているのか!?」
「なんて言ったんだあいつ、えな、えな……何とか生命体……」
ザワザワとこれには難民達も驚く。
『さらに言えば、人の目には色素細胞があり。
どうしても、その色としての認識を捉える事ができない人達もいます。
それが『私達』地球人類というわけです。
だから、多くの人達が、アンドロメダ王女様達を始めとしたエナジーア生命体を、認識すらできないのです!!』
「……」
少年の言葉が届き。
思うところがある難民達。
そのスバルの後ろでは――
「――なるほどね」
「道理で」
「そーゆう事だったのね」
クコンさんが、アユミちゃんが、クリスティさんが、その話を聞いて、改めて、納得した上で「うんうん」と頷き得るのだった。
だが、それをジトッと見つめる人達がいた。
教えたはずだ教えたはずだ教えたはずだ。
『――それが、皆さんが、アンドロメダ王女達を、見れない原因などです!』
「ちょっと!」
『はい……!?』
「じゃあ何!? そこにいて、そこにいる人達は、幽霊みたいなものなの?」
『幽霊? ……違います。僕が考えるに、幽霊とは死んだ生き物の霊魂であって、この人達は今生きているので、別物だと思ってください』
「……」
少年の言葉に返された、女の人は黙って見上げていた。
そこへ言葉を投げかけてくるは、周りにいた人達。
「何じゃあそりゃ……!?」
「訳わかんねえ」
『………………』
スバルの説明の仕方では、とても納得ができず、不評不評の評価だった。
「……」
スバル(僕)はその言葉を聞いて、もう嘆くしかできない……。
あんなにわかりやすく諭したのに……少しガッカリだ。
「ハァ……」
溜息を零した跡。
語りかけてきたのは、アンドロメダ王女様だった。
「気にするなスバル」
『!』
「お主が見えるだけ、まだ希望がある!」
「……」
「……」
「自分を……信じろ……!」
「……」
僕はアンドロメダ王女様に、そう諭されて、コクッ……と小さく頷き得た。
そして、ヒースさんが後ろから語りかける。
「スバル君、これからは君が、みんなを牽引していく、引っ張っていく立場にあるんだよ」
「ヒースさん……」
その話を聞いた僕は。
「……」
少し考えた後。
「……はい」
と小さく頷き得る。
僕はヒースさん達から首を切って、難民達に顔を向ける。
(そうだ! 僕がみんなを引っ張っていくんだ……! 僕はまだまだ子供だ。……だけど、ここにいるみんなの力を借りれば……いつかはきっと……!)
「……」
その目に光が宿る。
(自分を……信じろ……か)
「フッ」
笑みが零れる。
――その時、白い鳥が飛んでいった気がした。
舞い落ちる氷の粒の中を突っ切って、風となりて飛んでいく、一羽の白い鳥。
その目に光が宿る。
☆彡
(――確か、どこまで語ったけ……? そうそう、地球人類をアンドロメダ星に移住できたのは、アンドロメダ王女様たちの力添えがあったからです!! ……からだ!)
『……皆さんをここまで、難民移動手続きができたのは、周りの理解があったからなんです!
……。
アンドロメダ星のアンドロメダ王女様、L、デネボラさんたち。
アクアリウス星からいらした、ヒースさんやシャルロットさん。
そして、3界の覇者! 星王アンドロメダ様! 同じく星王ガニュメデス様! そして、ブリリアントダイヤモンド女王様たち!
……。
宇宙の法廷機関の場でお会いした、プレアデス星の女王様や、他の皆様方のご理解とご協力があってこそなんです!!』
「……」
地球人類の難民達が。
「「「……」」」
アユミ、クコン、クリスティが。
「「「「……」」」」
アンドロメダ王女様、L、デネボラ、レグルスが。
「「……」」
ヒースさんやシャルロットさんが。
「「「……」」」
星王アンドロメダ様、ガニュメデス様、ブリリアントダイヤモンド女王様が。
「「「「「……」」」」」
3英傑の3柱や護衛の人達が。
「……」
プレアデス星人の開拓者達が。
「……」
「……」
「……」
「……」
カメラ付きゴーグルをつけた人が。
エアディスプレイ画面を向ける人が。
飛び交う無人航空機が。
上空を浮遊する宇宙船が、それを納める。
『心より謝辞を送ります。
………………
………………
………………』
感謝の言葉を告げるスバル。
沈黙の時間が流れて。
その感心の名を呟く人がいた。
「お前の名は?」
『……は?』
「ガキ!! クソガキ、お前の名を覚えてやるから言え!!」
「こいつ、態度悪いな……」
「うるせーー!! 俺の家族はな殺されたようなもんだ!! 訳がわからずにこんなところに……クソッ、クソッ……!!」
「……」
『……スバルです』
「!」
「!」
顔を上げる態度が悪い人に。
周りの難民達の目。
「……」
「……」
「……」
「……」
カメラ付きゴーグルをつけた人が。
エアディスプレイ画面を向ける人が。
飛び交う無人航空機が。
上空を浮遊する宇宙船が、それを納める
『……スバルです……』
【一同沈黙……】
【その名を胸に刻み付ける……】
☆彡
別所。
「クソッ!!! 何だこいつは予定違いだ!!!」
「……」
「お前達に命じる!!! このスバルとかいうクソガキを『消せ』!!!」
「……仰せのままに」
「クソがッ!!! 計画が丸潰れだ!!!」
【――そう、あの事件は仕組まれていた】
【事件の仕組んだ魔の手が、この時、静かに、少年に忍び寄るのだった】
【彼等の言う、計画とはいったい……――】
TO BE CONTINUD……