13話 初任務
次の日、任務へと向かった。任務は村の近くに現れるゴブリンの殲滅。および、ゴブリンの親玉の討伐だ。ゴブリンの親玉を討伐した班の班長は、1番隊副隊長に昇格されるらしい。
ゴブリンの群れたちが、村を守っている柵に大量に張り付いていた。
1番隊は一斉にゴブリンの殲滅を開始した。
俺ら、第7班もゴブリンの殲滅に加わった。
マリーは俺の予想を遥かに超える強さだった。なんと、マリーは光よりも速い速度で動き回っていたのだ。目にも止まらぬ速さとはまさにこの事を言うのだろうと思った。
ミラ班長は、剣術を駆使した正攻法でゴブリンと戦っていた。基礎が固められていて安定感があった。
「何ぼさっとしとんねん!!お前も戦え!」
マリーに激を入れられた。
「はい!す、すいません!!!」
俺は我に返り、急いで戦闘に参加した。
ゴブリンの群れは弱いが、数が多い。
他の班たちも雑魚ゴブリンを狩り続けることを繰り返していた。
すると、4班の班長アルフが、叫んだ。
「お前ら!!俺たちは奥へと進む!!親玉を狩りに行くぞ!!」
すると、皆大声を上げて村から森の奥へと進んでいった。
俺ら第7班だけが、村の柵のところで防衛となり、他の班はゴブリンの親玉を探しに、森へ行ってしまった。
「ふぅ・・。雑魚は俺らに全任せっすか・・。」
マリーは激怒していた。
「なんでウチらだけ雑魚狩りやねん!!ウチも親玉を狩りに行きたいのに・・!!」
「で・・でも、ここを離れたら、村人たちを守っている柵が壊れてしまうかもしれないし・・。私達7班はここを守ろう・・?」
班長がそう諭す。俺は、親玉とかどうでもよく、生きて帰ることが目的のため、班長に賛成だった。
「俺も賛成です。ここは守りましょう。」
マリーは怒り狂っている。
「あーもう分かったわ!!じゃぁ、あのクソ野郎共が帰ってきた時のためにここで待機してやるよ。」
と吐き捨てるように言った。
だが、ここで緊急事態が起こった。
なんと、ゴブリンの親玉は、雑魚ゴブリンの中に潜んでいたのだ。
いきなり、雑魚ゴブリンの内の1体が巨大化した。
ゴブリンは、その巨体で暴れまわった。
村人たちが襲われている。
「あ・・あれは!!知性がある・・?他の班が森に行き、ここが手薄になったのを待って親玉が攻めに転じたんだわ・・!!」
「よっしゃ!!それは運がええな!!ここでウチらで狩ればええ!!」
「了解・・!!」
俺達は巨大なゴブリンの親玉に襲い掛かった。
しかし、親玉は、大きさによるパワー以前に、俺たちが予想外のスピードで攻撃を返してきた。
こいつ・・・強い・・!!
俺は、親玉の攻撃を避けながら、思った。
親玉は、俺に向かって、棍棒を振りかざしてくる。
俺は、攻撃を避けて、距離を取った。
ミラ班長が剣術で仕掛けた。
「くらえぇっ!!!!」
ミラ班長は、剣で斬りかかった。
親玉は、その攻撃を受け止めた。
「うそだろ!?あいつ、ミラ班長の一撃を受け止めたのか!?」
俺は驚いた。
すると、親玉ゴブリンは、ミラ班長の足を掴んだ。
そして、棍棒で打撃を加え、地面に叩きつけた・・!!
やべえ・・!!ミラ班長がやべえ!!
「少林寺、術式展開、演武!!」
俺は、演武を展開し、地面に叩きつけられたミラ班長を抱え上げる。その隙に、マリーが光速の蹴りを親玉ゴブリンに食らわせる。
親玉ゴブリンが悶えている隙に、俺はミラ班長を抱え、距離を稼ぐ。
ミラ班長は、負傷し、骨も何本か折れているようだった。
「・・・ご、ごめん・・・!」
ミラ班長はもう戦えそうにないな・・。
「マリー!!2人で協力して、アイツを倒そう・・!!」
「わかったわ!!行くで!!」
マリーが駆け出す。俺もそれに続き、親玉ゴブリンに向かう。
親玉ゴブリンは、俺達を睨みつけると、棍棒を投げつけてきた。
俺達はそれをかわす。
「そんな攻撃、光速のウチには当たらへんで!!」
俺は、ソフィアさんとの修行での課題、技への理解を意識した。そして、自分の脳内にあるはずのステータスを理解し、技を組み立てた。
「少林寺!!一の技、旋風脚!!」
俺は、回し蹴りを放った。しかし、親玉ゴブリンは後ろに飛んで避けてしまった。
マリーは、光の速度で移動し、親玉ゴブリンを蹴った。
親玉ゴブリンは、吹き飛ばされたがすぐに立ち上がった。
くそっ・・俺の蹴りは外したか・・。だが、連続で技を出すことに意味がある・・!!俺は順番通りに技を出していくぞ!!
「ケイ!!何しとんねん!!とろいんだよアンタは!!」
「うるさい!!次は当てる!!」
俺は高速で親玉ゴブリンの顔面付近に接近した。
「少林寺!!二の技、八卦掌!!」
俺の攻撃が親玉ゴブリンに命中した。大ダメージで悶えているようだ・・。
よし、この隙にマリーが決めてくれ・・!!
「とどめや!!光速攻撃、百花王乱舞!!」
光の速度となったマリーは、まるで、花びらが舞い散るように無数の攻撃を繰り出していた。その動きがあまりに美しくて、一瞬見とれてしまっていた。
親玉ゴブリンは、無残にもバラバラになって地面に崩れ落ちた。
「よっしゃ!!ウチが倒したで!!」
なんとか、親玉ゴブリンを討伐することができた。後は、ミラ班長の手当てを急がないと・・。
俺は肋骨が数本折れた、ミラ班長に応急処置をした。具体的には、ポーションを飲ませただけだが・・・。
一刻も早く城へ戻って治療を受けさせてあげた方が良いな・・。
「ありがとうね・・。ケイ・・。」
しかし、そこに顔を真っ赤にして激怒したアルフが戻ってきた。