310章 レベルアップ
ミライ、ハルキがいなくなったあと、室内は暗くなった。
「アカネさん、こんにちは」
メイホウに挨拶を返そうとすると、体に無数の傷をつけられていることに気づいた。どのようにすれば、ここまでボロボロになるのだろうか。
「メイホウさん、どうかしたんですか」
「能力の掟を破ったことで、罰を受けることになりました」
「能力の掟?」
「1回でも付けた能力を、絶対に消してはいけない掟を破ってしまいました。これを破った場合は、基本的に死刑ですけど、緊急時ということもあって、命だけは助けてもらいました」
緊急時でなければ死刑。メイホウの世界では、厳しいルールを適用している。
「今後は一時的な能力をつけないようにします」
「メイホウさんは悪いことをしたわけでは・・・・・・」
「社会は良い、悪いではなく、法律によってきめられます。理不尽であったとしても、ルールを守ることを求められます」
将棋のA級名人戦において、マスク付着用の不戦敗があった。いろいろな物議をかもしているけど、ルールに倣っているのは事実だ。ルールというのは、人間の上に存在している。
「メイホウさん、今日は話をするためにやってきたんですか?」
「違います。アカネさんのサポートをするために、こちらにやってきました」
「私のサポート?」
「はい。アカネさんのレベルを、9999に上げようと思います」
「レベルをまた上げるんですか?」
「レベル999では、酸素村の魔物退治は厳しいです。レベル9999にすることによって、魔物退治をスムーズにできるようにします」
メイホウの話を聞いていると、テオスのいっていることは正しかった。アカネの能力をもってしても、魔物退治は容易ではない。
「レベルは簡単に上げられるものですか?」
「そうですね。レベルをプラスするのは、制約はありません」
好きなときに好きなだけレベルをアップできる。第二の人生だからか、あまりに自由すぎる。
「レベル9999に挙げると同時に、酸素村の魔物殲滅のスキルを伝授します。魔物殲滅のスキルを発動することで、半径10メートル以内の酸素村の魔物をすべて退治できます」
魔物殲滅のスキルを使用すれば、一方的に撃破することができる。魔物退治にとって、非常に心強い味方となる。
「スキルについては、1日に何回も使えます。出し惜しみしなければ、3日くらいで魔物退治を終えられるでしょう」
3日で仕事を終えられると知って、モチベーションは大いにアップする。
「災害無効スキルも付与します。災害無効スキルというのは、災害の被害を0にする能力です」
地震が起きてからではなく、地震の起きる前に習得させてほしかった。アカネは本音を心の中に、そっとしまいこむ。