306章 地震を振り返る
アカネは布団の中で、巨大地震について振り返った。
地震は大きいとは聞いていたものの、あそこまでとは思っていなかった。どんなに大きくても、日本と同じレベルにとどまると考えていた。それゆえ、事前対策をまったくしていなかった。
地震の範囲の広さにもびっくりする。地震被害は街の一部ではなく、街全体に広がっていた。アカネの家を除くと、ほとんどは全滅だった。
巨大地震は今後も起きる可能性はある。復興ありきで考えるのではなく、巨大地震の被害を0に抑えるようにもっていきたい。超能力を所持しているので、巨大地震の被害を0にできると思われる。
地震の被害をストップさせるには、住民の協力は必要不可欠となる。どのような話をすれば、納得してもらえるのだろうか。
現実逃避をするために、目を閉じようかなと思った。地震のことばかりを考えていると、心はどんよりしてしまいかねない。
扉をノックする音が聞こえる。気乗りはしなかったものの、客人を迎えることにした。
アカネは扉を開けると、ハルキが立っていた。魂を抜かれたかのように、どんよりとした表情をしている。彼女の心に重くのしかかる、出来事があったと思われる。
「ハルキさん、いらっしゃい」
「おじゃまします」
ハルキは生きがいのすべてを失った、亡霊さながらだった。