129章 栄養補給
アヤメは充実感に満たされていた。
「ミサキちゃんと仕事できて、とっても楽しかった」
出演時間は長くはないけど、一緒に仕事をしたのは事実。ミサキにとっても、記憶に残る1日になりそうだ。
サイトウは大量の食料を、ミサキの目の前に置く。
「ミサキさん、水2リットル、おにぎり100個、みそ汁10杯です。こちらでおなかを満たしてください」
アヤメはさらに瞳を輝かせる。
「ミサキちゃんと一緒に仕事できたうえに、食事まで見られる。私にとっては、最大のハッピーだよ」
お腹を満たすために、おにぎりを次々と食べ進めていく。食べているというよりは、押し込んでいるかのようだった。
「ミサキさん、おなかはどうですか?」
ミサキはのどを詰めないよう、水分補給をする。食べるのと同じくらい、水分補給は重要である。
「おにぎりのおかげで、空腹地獄から解放されそうです」
おにぎり20個を追加で食べる。朝から何も食べていないので、大量のエネルギーを必要だ。
おにぎり40個を食べたところで、食べる手はストップした。
「おなかは持ち直しました」
みそ汁を啜った。時間がたっているからか、温かさは感じなかった。
「ミサキさん、話をしてもいいですか?」
「どうぞ、話をしてください」
サイトウは小さく瞬きをする。
「報酬については、歩合制です。ハーゲンダッツの売れ行きによって、報酬をお渡しすることになります。報酬の割合は、ミサキさんに50パーセント、アヤメさんの会社に50パーセントということで、お話ししました」
報酬のことまで話を進めるとは。サイトウという女性は、とってもできる女性のようだ。