294章 復興への道のりは長そうだ
地震発生から20時間経過。道などを魔法で修復したものの、復旧には程遠い状態だった。
復興中であったとしても、住民のおなかはすいていく。食料を確保しなければ、飢え死にすることになる。アカネたちは食料を確保するために、いろいろなところを回った。
肉、魚などは見つけられなかったものの、10億本のバナナを見つけることができた。100万本ほどを収穫したあと、一人一人の住民に配っていった。バナナさえあれば、飢えをしのぐことができると思われる。
住民の生活が豊かになっても、バナナ「セカンドライフの街」の救世主であり続ける。いかなるときであっても、切り離せない存在になっている。100年後、200年後になっても、住民の命を支え続けていく。
食料以外で確実に必要となるのはトイレ。ソラ、ソラの部下にお願いして、1000くらいの仮設
トイレを建ててもらった。これだけの数があれば、一時しのぎにはなりそうだ。
他に必要となるのは住居。こちらについては、早急に準備していく必要がある。
アカネは住民の治療に取り組む。負傷者の数は非常に多く、長期戦の様相を呈していた。
ソラがこちらにやってきた。
「アカネさん、まだまだいけそうですか?」
「ソラさん、いけますよ」
「心が疲れたら、遠慮なくいってくださいね」
体は疲れないけど、心の疲労は蓄積する。超人的な女性にも、大きな欠陥がある。
「ソラさんはどうですか?」
「私はまだまだいけますよ」
ソラは責任感が強いので、無理をする可能性は否めない。ソラ自身の体を守るためにも、しっかりと休んだほうがいい。
「復旧は長引くと思うので、休みを取ってください」
被害の状況からして、完全復旧に3~4カ月はかかりそうだ。しっかりと休んでおかないと、体力が持たなくなる。
「アカネさんが頑張っているのに・・・・・・」
アカネは最後までいわせなかった。
「自分の体を守るのも、立派な仕事です。今日はもう休んでください」
「ありがとうございます。自分の街で休みを取らせていただきます」
ソラは瞬間移動の魔法で、自分の街に戻っていった。
「アカネ様、子供に回復魔法をかけてください」
おかあさんが抱えている子供は、ぐったりとしていた。
「わかりました。回復魔法をかけます」
回復魔法をかけると、子供は目を開いた。
「アカネ様、ありがとうございます」
18くらいの母親から、声をかけられた。
「アカネ様、子供を助けてください」
子供の年齢は9歳くらい。9歳くらいのときに、子供を出産したようだ。
子供に回復魔法を使用すると、元気を取り戻す。
「アカネ様、ありがとうございます」
別の女性から声をかけられる。
「アカネ様、目の治療をお願いします」
女性は木材をぶつけた影響なのか、左目が開かなくなっていた。
アカネが回復魔法をかけると、左はゆっくりと開いた。
「目は見えますか?」
「はい。アカネ様、ありがとうございます」
一息つく間もなく、次のお願いをされる。
「アカネ様、腕を元通りにしてください」
地震の衝撃によって、両腕を失っていた。今回の地震の強さを、大いに物語っていた。
回復魔法を使用すると、失われた両手は元通りになった。
「アカネ様、本当にありがとうございます」
次の女性を見ると、見覚えのある顔だった。
「カスミン、どうかしたの?」
「アカネさん、背中の痛み治してください」
「わかった。すぐに治療する」
カスミに回復魔法をかけたあと、背中を触っていた。
「アカネさん、痛みがなくなりました。ありがとうございます」
カスミンスマイルを見ていると、心にたっぷりの栄養をもらえるように感じられた。