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「解熱剤に冷却シート、氷のう、経口補水液にゼリー飲料…それと、菜摘さんが好きなアイスとゼリーなら食べられるかなと思って買ってきました!」
「ありがとう隼くん!助かる!」
幸い菜摘さんのアパートの近くにはドラッグストアがあったので、必要そうなものを買ってきた。
それらを広げていると、菜摘さんは安心できたかのような笑顔を見せてくれた。
「隼くん、本当に手際が良くて心強いよ。小学生でこんなに上手にお買い物できる子もなかなかいないよ?さすがだね!」
「そんなことないですよ。褒めすぎですって…」
「照れてるの?可愛い!」
「……菜摘さん、元気そうですね……」
「隼くんのおかげだよ!隼くんが可愛いすぎるから、癒やされて良くなってきてるの」
「……っなんですかそれ…恥ずかしいです。」
「あーほら!そういう反応が可愛い!」
熱のせいなのか、いつもより顔の赤い菜摘さんが僕を揶揄うように笑う。
そして僕も菜摘さんにつられて、体の中が熱くなっていく。
普段褒められることが殆ど無い僕にとって、菜摘さんが褒めたり揶揄ったりしてくれることはすごく新鮮だ。
嬉しいような、恥ずかしいような、思わず顔が緩んでしまうような……
不思議な感覚だった。