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『20XX年 6月11日。
私が隼くんと知り合ってから1ヶ月。
隼くんは、ほとんど毎日のように「友達になってくれてありがとう」と言ってくる。
私は、隼くんが何故そんなにも友達という存在に感動しているのかは何となく分かっているつもりだ。
学校では友達どころか仲間すらいないのだから……。
隼くんは優しくて大人びていて、とても頭のいい子。
それなのに、一体なぜいじめられ続けているのだろうか。
本人に聞きたいと思うことは何度もあったけれど、いざ彼と話してみるとその勇気が風の前の塵の如くあっさりと飛ばされてしまう。
隼くんの中には何か、いじめの件で私に心配させまいという強い強い信念があるように思える。
そんな彼の雰囲気からも、私はやっぱり彼には何も聞けずじまいなのだった。』