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小学5年生の僕は、一言で言えば「孤独」だった。
朝登校すればすかさず誰かに背中から蹴られ、倒れたところを追撃される。
新しくてキレイな洋服だろうが一瞬で汚された。
そのくせ、誰も口を利いてくれなかった。
…というよりも、所謂コミュニケーションを取ってくれる人はいなかった。
罵声や口汚い悪口は浴びせられるし、罪を着せられるときだけ声をかけられる。
僕は小学5年生の春から、クラスの中で虐められていた。
誰も助けてはくれない。
担任の先生もいじめに加担していた。
僕がいじめられるようになったきっかけは、僕が仲良くしていた子がいじめられていたところを助けたから。
だけどその子も転校してしまって、僕は本当にひとりぼっちだった。
僕は勉強が好きだった。
スポーツも歌も絵を描くことも好きだった。
だから僕は、ひとりぼっちだったけど自分のやりたいことをやれていたのかもしれない。
一人だからこそ、休み時間や放課後は図書室に行って勉強したり本を読み漁ったりできた。
一人だからこそ、何時間も自分の好きな場所で好きな風景の絵を描くこともできた。
そのお陰で僕は、他の誰かを虐めてやろうとか、虐めてきたクラスメイトにやり返そうなんてことは考えなかった。
むしろ、僕がいじめられることで他の誰もいじめられることがなくなるのならば、それでいいとすら思っていたのだった。