276章 握手会開催
握手会に参加するために、たくさんの住民が集まっていた。軽く見積もっても、30000以上はいると思われる。参加者を見て、長期戦になるのを覚悟した。
「アカネさんの握手会を開催します。順番に並んでください」
見た目はほぼ同じであるため、年齢を判別することはできなかった。彼女たちの実年齢はいくつなのだろうか。
先頭に並んでいた女性が、透き通った声を出す。聞いているだけで、幸せな気分になれた。
「アカネ様、握手をお願いします」
アカネが手を差し出すと、住民はふんわりと握った。
「アカネ様、ありがとうございます」
住民は満面の笑みを浮かべながら、会場からいなくなった。
2番目の女性は、興奮した声を発する。
「アカネ様、お願いします」
アカネが差し出した手を、包み込むように握っていた。
「アカネ様、ありがとうございます」
3番目の住民と顔を合わせる。
「アカネ様に会えて、光栄に思います」
ディーオの世界においても、「様」づけなのか。こちらの世界においても、英雄さながらの扱いを受けている。
「アカネ様、ハグをしてください」
ハグをしたいといった住民に、ディーオがストップをかける。
「イベントにおいて、スキンシップは禁止されています。守れない場合については、厳しい対応を取らせていただきます」
言葉遣いは丁寧であるものの、有無をいわさない響きが含まれていた。
「アカネ様、お願いします」
ディーオは引き下がらない参加者に、何かの術をかけていた。
「ルール違反者は、牢獄に送り込みます」
規律を守るために、厳しい処置をとっていく。ルールを守らせるためには、やむを得ないことなのかもしれない。