275章 ディーオの世界(100パーセント女性)
アカネは家に帰ってきたあと、ディーオに連絡を取った。
「ディーオさん、仕事が終わりました」
「それなりに時間がかかりましたね」
「大がかりな仕事だったので、日数を要することになりました」
「アカネさん、これから来ることはできますか?」
「はい。いけますよ」
「アカネさんに会いたい住民がたくさんいます。一人一人に挨拶をして、握手をしていただけませんか?」
ハグは精神的にきついけど、握手ならいいかな。
「わかりました」
「需要があったときは、肩を組む、背中をさすることもあります。そちらについては問題ないですか」
「女性にされるのはいいけど、男性にされるのは・・・・・・」
握手会の参加者を10000だと仮定すると、4000~6000は男がいると思われる。多数の男性と肩を組まされる、背中をさすられるのは処刑に近い。
「参加者は女性のみです。男性はいないので、安心してください」
参加者に男性がいないことを知って、安堵の息を漏らす。
「私たちの街には、女性だけが生活しています。男性は生存していません」
女性だけの街と知って、目の玉が飛び出すくらいの衝撃を受けた。
「女性だけでどうやって、子孫を増やすんですか?」
精子、卵子がくっつくからこそ、新しい命が誕生する。女性だけでは、生命を作るのは無理である。
「私たちは特殊な遺伝子を持っており、女性だけで子孫を増やすことができます」
食べ物を貯蓄する能力もすごいけど、女性だけで子孫を増やせるのもすごい。ディーオの街
は、特殊遺伝子を所持している。
「特殊な遺伝子を持っているため、男が誕生することはありません。女性100パーセントの街となっていますよ」
女性100パーセントの街に住んでみたいような、住んでみたくないような。何ともいえない感情が芽生えていた。