266章 思わぬ人物と出会う
アカネは高級肉屋にやってきた。
高級肉屋の前で、思いがけない人物を発見する。
「ミライさん・・・・・・」
「アカネさん、偶然ですね」
「今日はどうしたの?」
『「セカンド牛+++++」を求めて、こちらにやってきました』
飴、少量の水で生きていた女性が、最高級の肉の購入にやってくる。ミライを取り巻く状況は、目に見える変化を遂げた。
「肉を食べることによって、リラックスにつなげます」
仕事をすると、ストレスがたまる。ストレス解消をするのは、とっても重要となる。
「アカネさんの家にいけていないので、近いうちに訪ねたいと思います」
「仕事をしているので、しばらくは無理かな」
「2カ月くらいは、休みを取るといっていたような・・・・・・」
「あるところからの急な依頼だったので、引き受けることにしたの」
テオスの様子からすると、15~30日はかかると思われる。下手をすると、60日くらいかかるかもしれない。
「そうなんですね」
人生では、思いがけない事態と遭遇することも多い。スケジュール通りに行くのは、稀だといえる。
「ミライさんは絵を描いているの?」
「はい。依頼が殺到しすぎて、自分の時間を取れないことも多いですね」
特殊な能力を持っている人には、大量の仕事が殺到する。どの世界においても、同じであるといえる。
「体の違和感、痛みはない?」
「はい。現時点では、違和感、痛みはないですね」
健康でなければ、能力を生かすことは難しい。テオスの姿を見たばかりだからか、そのように
思わずにはいられなかった。
「テオスさん、ソラさんを待たせているの。肉を購入したら、家に戻ることにするね」
「わかりました。私も肉を買ったら、家に戻ろうと思います」
アカネは店長に声をかける。
『「セカンド牛+++++」を、50キログラムください』
肉の量が多すぎたのか、店長の瞳が泳いでいた。
「50キロですか?」
「はい。50キロをお願いします」
「わかりました。準備させていただきます」
店長は肉を準備するために、店内へと下がっていった。
「アカネさん、とんでもない量ですね」
「そうだね」
100日分の食料をためられる、テオス、ソラがいる。彼らをおもてなしするためには、これくらいの肉が必要となる。
「私が一度に食べたら、おなかを壊しますね」
肉の購入量は、女性一人分の体重に匹敵する。通常の女性には、食べきるのは不可能だ。
ミライと話をしていると、思いがけない人物と顔を合わせる。
「カスミン・・・・・・」
カスミは前触れもなく、手を握ってきた。
「アカネさんと二度も会えるなんて、ハッピー&ハッピーですね」
「どうしてここにいるの?」
「家に帰ろうとしていたんです。私の家は、肉屋の10軒隣にあります」
カスミにとって、肉屋は通り道になっていたのか。住所を把握していないので、そのことを知らなかった。
「カスミン、スマイルたっぷりだね」
ミライの呼び方からすると、二人は顔見知りのようだ。
「うん。スマイルがチャームポイントだから」
「カスミンスマイルは、とっても素敵だよ」
カスミは褒められたことが嬉しいのか、表情がにやけていた。
「ミライさん、褒めても何もあげませんよ」
アカネは店内に視線を送る。肉の量が多すぎたのか、準備に手間取っていた。