259章 テオスの食欲
「セカンド牛+++++」が焼きあがった。肉の色は異なるものの、とってもおいしそうである。
「テオスさん、肉が焼けました」
しっかりと焼いた場合の肉汁はどうなるのかな。試したことがないので、よくわかっていない。
テオスは、フォーク、ナイフを手に取った。
「アカネさん、これはなんですか?」
「肉を切るための道具ですよ」
「そうですか。人間界はいろいろと便利ですね」
テオスはフォーク、ナイフを扱うも、肉をうまく切れなかった。初心者には扱いが難しいようだ。
「フォーク、ナイフを使うのは難しいですね」
「最初は難しいですけど、徐々に慣れますよ」
練習を繰り返すことで、フォーク、ナイフを上手に扱えるようになる。何事も繰り返しが重要である。
「そのままで食べてもいいですか?」
肉の食べ方は、個々の自由である。マナーについては、口出しするつもりはない。
「いいですよ。肉が大きいので、喉に詰めないようにしてくださいね」
「アカネさんの心遣いに感謝します」
テオスは肉の真ん中からかぶりつく。野良猫が与えられた魚を、食べているかのように映った。テオスを慕っている人が見たら、失望するかもしれない。
「大量のスープを感じられて、最高に素晴らしいお肉です」
ウェルダンにしても、肉汁を感じられる。「セカンド牛+++++」は、どのように作られているのかな。
「作り立ての食べ物を食べられるのは、本当に幸せですね」
テオスはトップであり、身を守られる存在だ。普段は毒見役が試食をしてから、食べ物を口にすると思われる。出来立てを食べられないため、冷たいものを食べることになる。
「まだまだあるので、食べたいならいってくださいね」
アカネの言葉を聞き、テオスは大胆なことをいった。
「30枚ほどお願いしてもいいですか?」
通常なら断りたくなるところだけど、2000兆ゴールドをもらったという恩がある。アカネは喜んで協力することにした。
「わかりました。30枚の肉をご馳走します」
「ありがとうございます」
1枚ずつ焼いていると、かなりの時間がかかる。アカネは大きめのフライパンを取り出すと、5枚の肉を一度に乗せた。
「肉が焼けるまで、お待ちください」
テオスは興奮しているのか、鼻息がとても荒かった。おいしいものを前にしたことで、理性のストッパー機能が壊れている。