246章 最強衣服の防御力
「どれくらいの防御力なのかを、確かめてみてもいいですか?」
シオリの提案に対して、アカネは首を振った。防御力を知ってもらうことで、不安の解消につながるといいな。
「服を包丁で一突きしてみたいです」
実験に使用するための、包丁を準備する。
「シオリさん、どうぞ」
シオリに渡した包丁は、切れ味抜群である。通常の服であったなら、大量の出血は免れない。
シオリが服を一突きすると、包丁の刃は木っ端みじんに砕け散る。破片が当たると危険なので、魔法で飛び散った破片を消去した。
「すさまじい防御力ですね」
完璧な防御力を実現するために、10000回以上にわたって、服を作り直した。命を守るものなので、一ミリの妥協もしなかった。
戦国時代に出てくる鎧は、敵の攻撃を防げない。あれでは、鎧としては不十分だ。鎧と名がついているからには、敵の攻撃をシャットアウトする必要がある。
「火を試してみたいです」
家の中で火を試すのは、さすがに無理がある。こちらについては、機能の説明をする。
「1000℃まで、問題ないようにしたよ」
地上に住んでいる限り、1000℃以上になるのは稀だ。この服を着ていれば、すべての熱を防ぐことができる。
「この服があれば、安全に過ごすことができますね」
ココアは胸に手を当てる。
「心を安定させることで、ばっちりの睡眠を取れそうです」
余計な考え事をすると、睡眠不足になりがちである。良質な睡眠を取るためには、心を無にしたほうがいい。心を空っぽにすることで、良質な睡眠につながっていく。
「ココアさん、バリアはどうする?」
アカネの質問に、ココアは即答した。
「解除してください」
バリアをはることによって、子供の自由を奪うことになる。メリットは大きいものの、デメリットも大きくなっている。
「わかった。今日からはバリアなしにするね」
「アカネさん、ありがとうございます」
シオリにも確認を取った。
「シオリさんはどうするの?」
「解除します」
バリアをはらなかったとしても、安心した生活を送ることができる。そんな街づくりをやっていけるといいな。