240章 まったり
紅茶を入れ終えると、2人に提供する。
「ミナさん、カスミさん、どうぞ」
「アカネさん、ありがとうございます」
カスミは紅茶を飲むと、親指を立てて喜びを表現する。
「ワンダフル、ベリーグッド、グレイティスト」
カスミは一杯目の紅茶を飲み終えると、ミナの紅茶に手を付けてしまった。
「最高においしいです」
ミナは唇を尖らせていた。
「カスミ、人の紅茶を飲まないで」
「ミナ、ごめん・・・・・・」
「ユメカといい、カスミといい・・・・・・」
ユメカとやってきたときも、紅茶を取られていた。ミナは他人に紅茶を飲まれる、運命なのかもしれない。
顔を真っ赤にしている女性に、
「ミナさん、紅茶はまだまだあるよ」
と伝える。
紅茶を淹れようかなと思っていると、ミナから声をかけられる。
「アカネさん、紅茶以外の飲み物はないですか?」
「冷蔵庫の中を確認してみるね」
冷蔵庫の中には、オレンジジュース、桃ジュース、ぶどうジュースがあった。
「オレンジジュース、桃ジュース、ぶどうジュースがあるよ」
ユメカは少しだけ考えたのち、
「桃のジュースを飲みたいです」
といった。
「わかった。桃のジュースを準備するね」
購入したばかりの最高級容器に、桃のジュースを注いでいく。
「ミナさん、どうぞ・・・・・・」
ミナはゴクゴクと飲み進めていく。喉が躍動しているのか、喉仏が浮いているように感じられた。
「アカネさん、おかわりをください」
「わかった・・・・・・」
カスミは注がれるジュースに対して、熱視線を送っていた。
「私も桃ジュースを飲みたいです」
カスミにも飲ませてあげたいけど、桃のジュースは1杯分しかなかった。
「ミナさんの分を入れたら、桃ジュースは終わりなの」
普段は3~4本くらいを置くけど、今回は1本だけが置かれていた。
「そうですか・・・・・・」
パワフルな女性の瞳に、陰りが見られる。
「ミナさん、桃ジュースをどうぞ」
「ありがとうございます」
ミナは注がれた、桃のジュースを飲み進めていく。紅茶を取られていたからか、カスミのほうを見ることもしなかった。