239章 人間の距離感
「ココア、シオリは眠れていないみたいですね」
「そうかもしれないね・・・・・・」
長年の付き合いがあるからか、ココア、シオリの感情をくみ取っていた。
「二人は考えすぎるところがあります。考えることは悪くないですけど、どうしようもないことを考えても、前に進むことはできません」
殺人事件、地震、大火事、水災があっても、自分に関係なければ他人事。そういう生き方をしていくことで、人生は生きやすくなる。
「マイナス思考であることよりも、距離感の遠さを気にしていました。親しくなろうとすると、強力なブロックをされます。そのことに対して、もどかしい思いを経験しました」
ココア、シオリは一定の距離を保ちたいのに対し、ミナは距離を縮めたいと思っている。感情のすれ違いは、明らかである。
ミナを信用していなかったので、距離を開いていた可能性もある。こちらであった場合は、友達を続けるのは難しくなる。
ココア、シオリの二人は、ユメカにも同じようにしていたのかな。そうだとするならば、距離は自然と開いていく。
「余計なことを考えても、人生は楽しくありません。どんなときであっても、エンジョイ、スマイルを大切にしたほうがいいです」
カスミのそばにいるだけで、たくさんの勇気、元気をもらえる。
「ミナさん、カスミさん、紅茶のおもてなしをするね」
紅茶を飲めることを知って、カスミの瞳が輝いていた。
「最高級の紅茶を飲めるのは、とってもラッキーです」
カスミは簡単な英語を、多用する傾向がある。話し方については、独特のものを持っているのかもしれない。