3話
支配、意味が分からなかった。
学校を支配する、言葉の意味は分からなくもない。
ただ、わからないのだ。
言葉の意味以外、全くわからないのだ。
どう返答するべきかも。どうして彼がそんなことを持ち掛けるのかも。
ただ、そういう時の対処法は心得ている。
(;'A`)「ど、どうしてだよ!俺がこの学校を支配しなくちゃいけないんだよ!
お前は何がしたいんだよ!」
そう。質問だ。
小学生でもできる、というか小学生ならこれしかできない基本だ。
基本に忠実でよかった。
そしてその返答がかえってきた。
(-_-)「A.質問に質問で返してはいけないよ…
僕も君の額に穴をあけたくないんだ」
ヒッキーは拳銃をこちらに向けた。
開けたくないとは言っているが少しも動揺していない。
所詮こちらはどうでもいい、ということだろうか。
「すこし恩があるから生かしてやろうかな~」くらいの人間として認識されているようにしか、
俺には思えなかった。
(;'A`)「…」
(;-A-)「…」
怖い。このまま受け入れれば死にはしないが、
人として大切な何かが消えてしまう、そんな気がする。
生き残るか。人のまま消えるか。
その2択を持ち出すかのように目の前の拳銃は光っている。
それなら俺は…
('A`)「わかった。その申し出、受け入れさせていただく。」
(-_-)「それはよかった」
ヒッキーが笑って拳銃と弾倉…だったか。を差し出すのと同時に俺の人としての尊厳が消えうせた気がした。
すまんな尊厳。
お前の抜けた穴はすぐ他の何かで埋め尽くしてやることになりそうだ。
(-_-)「それでは今から君にやってほしいことを伝える。
まず生き残りを全員殺せ。それを最初にやってほしい。
そこからあとはまた後で話そう」
人殺し。それが命になる仕事。
「多数:俺の命」では俺市場の相場か分からないが。
('A`)「…あぁ。いつ出会うかとかはあるのか?」
(-_-)「2時間目…いや4時間目終了後の大型休みのチャイムが鳴ってからにしよう」
('A`)「…なぁ、もう一つ質問なんだが」
(-_-)「なんだい…?」
顔は全く変わっていないように見えるが少しいらだっているような声だった。
ただただ恐ろしかったので俺は質問をやめる。
('A`)「…いや、すまない。ご飯はどうするのか、っていうどうでもいい話だ」
(-_-)「そうか…」
ヒッキーのいらだちは高まっているような気がする。
俺は早く、その場から離れようと教室から出た。
猟銃みたいな感じの銃を背負ったヒッキーもセットでついてきた。
(アン)ハッピーセットだな。これは。
(-_-)「それじゃあ、君は右手側…実技棟に行ってくれ、
僕は左手側の教職員棟に行ってくるよ」
俺は言われたとおりに右に曲がり進んだ。
そして俺から見て曲がり角となる場所で俺は
ヒッキーに向かって銃弾を一発、撃った。
(;-_-)「ぐがぁッ」
初心者の適当な銃弾だが、ビギナーズラックだ。
どうやらヒッキーの左腕に命中したようだ。
俺はそのまま駆け出した。あれならデカいロケランだのスナイパーライフルだのは打てないはずだろう。
先ほど「デカい鞄」と呼んだ鞄の中には多分拳銃だけじゃなくそういうデカいのも入っているはずである。
勘だが、正しい気がした。
(;'A`)「…さて、どうすっかなぁ…」
駆け出したはいいものの多分絶対ヒッキーに追いかけられているだろう。
ヒッキーと俺の運動能力は多分同程度。
俺が少しでも止まれば即座に追いつめられるだろう。
せめて次の分かれ道で振り切らなければならないだろう。
('A`)「…あれ?」
よく考えたらヒッキーは銃を背負っていたはずだ。
走るなら重い銃は置くはずだ。
置くまでどれくらいかかるかわからないが片手で置くのは辛いだろう。
なら、重い銃を持って走ってくるのではないか、とも思ったが、
俺レベルの運動能力ではそんなことはできないだろう。
これなら簡単に逃げ切れる。俺はそう思った。
――教職員棟方面
(#-_-)「くそ野郎がっ!
少し優しくしてくれたからって信用するのがバカだった!」
恩知らずなあいつが速攻で逃げたのをみて僕は走ろうとした。
しかし後ろの銃の重さに気づく。
何とかおろそうとするが片手では辛い。
撃たれたほうの手はとても痛み動かせる気がしない。
完全に逃げられた。敗北した。
(#-_-)「待ってろよドクオ君…絶対に、絶対に殺してやる」