230章 緊急防衛
仕事のことを考えていると、お風呂のほうから音がする。
「入浴者が眠りかけているので、お風呂のお湯を空にします」
入浴者の危険を察知した場合、お湯を空にする機能が瞬時に発動する。お風呂に取り付けられたシステムは、人命を最優先にしている。
水を空にしたあとは、浴室の温度を上げる。裸で問題ないよう、32~33度くらいの室温を保つ。
アカネは入浴上にかけつける。2人に何かがあった場合、回復魔法で治療する。心肺停止していても、魔法の力で助けることができる。
「ココアさん、シオリさん・・・・・・」
急にお湯がなくなったからか、ココアは顔が真っ青になっていた。
「アカネさん、お湯はどこですか?」
「入浴者の危険を察知した場合、自動的に水が抜けるようになっているの」
200リットルのお湯が、抜けるまでの所要時間は3秒。これだけの時間で水を抜けば、溺死することはなくなる。
「そうなんですね」
「お風呂に入りたいだろうけど、シャワーだけで済ませよう」
システムが作動したあと、 1時間はお湯につかれないようになっている。ココア、シオリの入浴希望はかなわない。
「シャワーはどれですか?」
ココアが質問したので、アカネは手に取った。
「これがシャワーだよ」
「シャワーはどうやって使用するんですか?」
アカネはシャワーの蛇口をひねる。シャワーのお湯が服にかからないよう、万全を期すことにした。
「これで使えるよ」
シャワーを使用する2人に、シャワーの使い方を説明する。
「左は温度調整、右はシャワーの調整だよ」
「なるほど・・・・・・」
シャワーの説明を終えると、入浴する場所からいなくなった。