228章 体が重い
ココア、シオリが目を覚ましたのは、夜の7時だった。睡眠をとり始めてから、6時間以上が経過していた。
二人は自主的に起きたのではなく、アカネの声かけによるもの。起こしていなかったら、夜の10時、11時まで眠っていたと思われる。アカネの仕事は10時からなので、所有者不在の状態になる。
ココアの家は、9時からシールドが発動する。それまでに帰宅しなければ、家族と過ごせなくなる。母親と会えない子供たちは、寂しさを感じると思われる。
長時間の睡眠を取った二人は、瞳をごしごしとこすっている。6時間の睡眠では、睡眠不足の解決にほど遠い。
「本当に眠れていないんだね」
シオリは大きな欠伸をしながら、
「はい。眠れない日々が続いています」
と答える。
「旦那、子供も睡眠不足が続いています。このままだと、体に悪影響を及ぼします」
旦那だけでなく、子供睡眠を取れていないのか。体の小さい子供には、きっちりと睡眠を取ってほしい。
10000時間を起き続けた身としては、睡眠不足はピンとこない部分もある。人間離れした生活を送ると、一般的な感覚を失う。
ココアも続いた。
「私の家も同じです。家族で睡眠不足になっています」
ココアの家はシールドで守られる。危険を排除することで、睡眠を取れるようになるのかな。
ココアは目尻を触る。
「アカネさん、顔を洗ってもいいですか?」
シオリも続いた。
「私も顔を洗いたいです」
バナナだけの生活を送っていたときは、水で顔を洗っていなかった。付与金を受け取ったことで、新しいことを覚えたようだ。
「どうぞ・・・・・・」
顔を洗うことによって、さっぱりとできるといいな。さっぱりとした気持ちになれば、心、体にプラスに働く。
二人は洗面所に向かっていく。睡眠をしっかりととれていないのか、体の重さをはっきりと感じた。