226章 シオリの願い
「防犯体制を強化してほしいです」
ココアと表現は異なるものの、シオリも同じような思いを持っている。
「家族全員で安心できる、生活を送りたいです」
温かい母親ばかりであったなら、放置、虐待などはなくなる。すべてのおかあさんは、シオリのような人であってほしい。
「セカンドライフの街」における、放置、虐待は1年間で10件ほど。稀ではあるものの、子供をぞんざいに扱う母親は存在する。子供に虐待をするくらいなら、出産しなければいいのに。出産
した母親、生まれてきた子供のどちらも不幸になる。
子供を故意に放置、虐待した場合は、300年以上の強制労働となる。小さい命を粗末に扱うことに対して、厳罰の姿勢を取っている。
不老不死でない限り、300年以上の人生はあり得ない。強制労働で人生を終える確率は、100パーセントである。
「シオリさん、どんなことをしたらいいの?」
「ココアと同じように、シールドをはってほしいです」
「いいよ。何時から何時までにする?」
「10時から、5時でお願いします」
「わかった。ココアさんと同じシールドをはっておくね」
ココアが9時から6時、シオリは10時から5時。アカネはしっかりと憶えることにした。
「アカネさん、防犯グッズも作ってほしいです」
「防犯グッズ?」
「凶器をシャットアウトできる服、熱を軽減できる衣類などです。住民が襲われたとしても、無傷でいられるようにしてほしいです」
危害を加えられたとしても、身を守れるようにする。シオリのアイデア力のすごさに、感激を覚えた。
「わかった。アイデアを膨らせて、商品の実現化につなげられるようにしたい」
完成させることができれば、住民は安定した生活を送れるようになる。時間があるときに、グッズの開発をしていきたい。
ココアは実現化に対して、大きな驚きを見せていた。
「アカネさん、そんなことできるんですか?」
「できるのかはわからないけど、とりあえずはやってみる」
幽霊退治は夜だけなので、昼に服を考案することはできる。
「アカネさん、お願いします」
ココアの瞳には、切実な思いがこめられていた。