225章 ココアのお願い
「アカネさんに相談があるんです」
「相談?」
どんな相談なのかと思っていると、
「夜の9時~朝の6時まで、家にシールドをはってほしいです」
と、ココアはいった。
「シールド?」
「放火事件があってから、寝付けない夜が多くなりました。そのこともあって、瞼の重い日々が続いています」
コハル、フタバだけでなく、ココアも眠れない日が続いている。平和な町だっただけに、事件のインパクトは強かったようだ。
「子供たちもよそよそしくなって、落ち着きを失いました」
事件を解決しても、人間の心は闇のまま。事件だけを解決すれば、次に進めるというものではないようだ。
アカネはシールドの欠点を説明する。
「シールドをはっている間は、外出することはできないよ。それでいいかな?」
防御に特化したシールドであるため、すべてのものを遮断してしまう。強力であるものの、不自由な一面を持っている。
「ココアさんだけでなく、夫、子供も外に出られなくなるよ。一家全員の楽しみを、奪うことになりかねない」
付与金で懐が潤ったのか、花火大会、夜店、屋台などを開催するようになった。住民は祭りに参加して、大いににぎわいを見せている。
「旦那、子供とも相談して、了承を得ています」
家族全員がOKなら、シールドをはってもよさそうだ。
「わかった。夜の9時~朝の6時までシールドをはるね」
「ありがとうございます。シールドがあれば、ぐっすりと眠ることができます」
外の空気を遮断すると、酸素の濃度が薄くなる。酸素不足になってしまうと、最悪の事態を招きかねない。
家事になると、外に逃げられなくなる。シールドをはったことで、命を失うリスクが上昇させることになる。
他にもいろいろなリスクがある。シールドはメリットが大きいものの、デメリットも大きくなっている。
「シールドに一酸化炭素無効、即時消化、リラックス効果などをつけておくね」
シールドをはればいいというわけではなく、ありとあらゆる事態を想定する必要がある。すべ
てに対応できてこそ、ココアの生活にプラスをもたらす。
「いろいろなことができるんですね」
「魔法を使用すれば、たいていのことはできるよ」
死んだ人を復活させる、食べ物を作る、お金を生み出す以外は、大抵のことができてしまう。完璧とはいかないものの、オールマイティである。