213章 慢性的な睡眠不足
コハルはテーブルに視線を送ると、瞳を輝かせていた。
「サーモンづくしですね」
「コハルさんが眠っている間に、スーパーで買ってきたんだ。サーモンを食べて、心の栄養をつけていこう」
好きなものを食べることによって、心に栄養を与えることができる。食べ物というのは、体だけでなく、心にも重要な役割を与える。
コハルは口元を抑える。あれだけの睡眠をとったにもかかわらず、睡眠は十分ではないよう
だ。
「コハルさん、夕食はいけるかな?」
「ふぁい。にゃんとか食べられそうです」
話し方がままならないほど、体に疲労を感じている。疲労困憊の状態で、夕食を食べることはできるのだろうか。
コハルはバランスを崩し、地面に転倒してしまった。
「コハルさん、だいじょうぶ?」
コハルはバランスを整えたあと、
「はい。だいじょうぶです」
と答える。アカネを心配させないために、無理をしているように感じられた。
テーブル、椅子に体をぶつけたわけではないので、痛みは軽いと思われる。そうだとしても、
傷の手当はしっかりとする必要がある。
「コハルさん、回復魔法を使用したほうがいい?」
「軽傷だと思われるので、回復魔法は必要ありません」
本人の意思を尊重するために、回復魔法の使用をストップした。
「もう1~2時間くらい、眠ってもいいですか?」
「うん。体を休ませよう」
「ありがとうございます」
コハルは布団に移動したあと、すぐに眠りについた。眠り方からすると、4~5時間くらいは起きてこないのではなかろうか。