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266 どうする?

ピシャーンッ!怒れるシア様。

「きゃははっぴしゃーっ」
ぴゅいきゅい『『きゃーっドッカーンっ』』
はしゃぐサーヤたち。

『なんじゃこりゃ』
思わず声に出してしまったゲン。

『まあ、平和で良いのではないかの』
『ほんに。ワシもあちらに行きたいのぉ』
じぃじ達もしみじみと言う。

『シア様は、アレだなぁ。怒ると喋り方というか、人格が変わっちまうんだなぁ』
気をつけないといけないタイプだな。

『そのようだの。地の精霊王様も、怒らせてはいけないお人だがの』
『口調はそのままだったのぉ。それはそれで』
『『すごいことだの(ぉ)』』
『たしかにな』
ウンウンと、頷きながら話す三人。

『あの二匹、どうなるんだろな?改心は難しそうじゃないか?』
シア様に雷を落とされている二匹を見ると、そうとしか思えないが
『そうだの。難しいだろうの』
『生まれた時からあんなだからのぉ』
じぃじたちも諦めたように言う。

『三つ子の魂百までってやつだなぁ』
ことわざってのは、ほんとに的を射ているんだなぁ
『なんだの?その言葉は?』
あっ。そうか、分からないよな
『俺たちが前にいた国の言葉でな?三つ子ってのは三歳の子って意味で、その頃までに形成された性格は、百歳、大人になっても変わらない。って意味だな』
『ほお。そのような言葉が…確かに、その通りだのぉ』
じぃじたちが妙に感心している。

『まあ、でも実際の話、どうするんだろな?このまま聖域の中で。とは、いかないだろ?』
到底、被害にあった森の住人に受け入れられるとは思えない。
『そうだの。生まれ変わりでもしない限り難しいだろの』
『森の外に放り出して暴れられても困るしの。外に出すのもはばかられるのぉ』
『そうだよなぁ』
はぁーっとため息をつく三人。そうなると選択肢は限られてくる。ハクたちのことを思うと最悪のケースは避けたいがなぁ。


ピシャンッピシャンッと周囲に火花が散る。

〖命は『物』でも、誰かの『所有物』でもない!あえて誰かのものだと言うなら、その本人のもの。他者が支配するものではない。それが例え親であってもだ!〗
シア様の怒りは続く。だが

『…っ 息子は私の物よ!私が育てて!私のように強くするのよ!』
『自分たちが育て、自分たちのように強くしたい!それが孫のためになるのだ!それのどこが悪い!』
これには皆が…キレた

シア様は今まで当たらないようにしていた雷を、

ピシャーンッ!ピシャーンッッ!

とうとう二匹に当てた。
全身からプスプスと煙をあげて倒れる二匹。

〖なにを寝ているのです。寝かせませんよ〗
医神様が意識を保つギリギリのところまで回復させる。
『起きてくださいませ』
起き上がらない二匹を、腹の下から土の槍を突き上げ立ち上がらせるアイナ様。そこに
バシャッと顔に冷水を浴びせる魔神ジーニ様
〖まるで、おまえ達がこの森の誰よりも強い。とでも言っているみたいね?〗
ジーニ様が冷たく言う
〖言っておくけど、おまえ達は強くないわよ。それどころか、この森の誰よりも弱いわ〗

『な、バカにするな!そんな訳があるか!』
『そうよ!神だからってバカにしないで!』

ヒュンッ!ザクッ
『『ギャンッ』』

二本の氷の刃が、二匹の口を裂く
『口を慎め。愚かな』
『本当のことだ。お前たちは誰よりも愚かで弱い』
ギンと吹雪親子が二匹を黙らせる。
『この森には、もはやお前たちを助ける者はいない。仲間もいない』
『強さとは、力だけではない。それが分からぬお前たちに、この先、この森に居場所はない』
更にギンたちは二匹を突き放す。

『『……っ』』
切り裂かれた口の痛みで喋ることも出来ない二匹が喉から唸る。

〖力を持つものは責任がある。正しく使えば、その力は自分を助け、周りを守り、幸せの手助けとなる。だが、その力を誤り、間違った方向に使えば、害となり、悪となる。お前たちのように〗
ジーニ様が威圧を込めて話す。

『『……っ』』
二匹の顔色が苦しいのかどんどん悪くなる。

〖お前たちは、自分たちの力を誇示するためだけに力を使い、更には、自分たちの醜い欲のために、他者を暴力により支配し、邪魔者を排除しようとした〗
ゆっくりと一歩ずつ愚か者たちに近づくジーニ様。

『『……ハァハァっ』』
二匹は更に顔色が悪くなり、呼吸も荒くなる。

〖それでもお前たちが、今までこの森で暮らせていたのは、いつかお前たちが目を覚まし、正しい方向を向いてくれるのではないかと、影から支える者がいたからだ。だが、お前たちはとうとう、その者達まで傷つけた〗
また一歩···

『『···っ』』
もはや二匹は息をするのもやっとのようだ。

〖この場にいるだけで苦しいのだろう?息が出来ぬ程に。それが、お前たちに最早救いの余地はないという証拠。よって、その穢れた魂には消えてもらう〗

そう、ジーニ様が言った途端、

二匹の体に閃光が走った。



その頃
『ねぇねぇ~、なんで見えなくなったのかな~?』
「むすびはしゃま、どちて?」
サーヤたちが突然外の様子が見えなくなったことで結葉様に詰め寄っていた。

『う、う~ん。なんでかしらねぇ?ジーニ様にあとで聞いてみましょう?』
ジーニ様~、確かに子供たちには見せられない光景だけどぉ、目隠ししてくれて助かったけどぉ、

ぴゅいきゅい『『え~』』
『『今、見たい~』』
『『『むすびはさま~』』』
みゃ~『おねがいにゃ~』

『そ、そうねぇ。もう少し待ってみましょう?ねぇ?』にこにこ
またもや、結葉様のひくついた笑顔に汗が一筋···

「ぶー」
『ぶー』
ぴゅいきゅい『『ぶー』』
『『ぶー』』
『『『ぶぶー』』』
みゅ『ぶーにゃ』

ちびっ子同盟、全力のほっぺたぷくぷくの『ぶー』

『ええ~』
いや~ん、私に向かってじゃなければ可愛いのにぃ~
ジーニ様~あとで、ちゃんとフォローしてもらいますからねぇ!

☆。.:*・゜☆。.:*・゜
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