200章 前進
コハルは外に足を踏み出した。
「コハルさん、メンタルはどうかな?」
アカネの質問に対して、コハルははっきりと答えていた。
「だいじょうぶですよ。アカネさん、ありがとうございます」
昨日は感じられた怯えは、どこかに消えている。コハルのメンタルの強さに、感銘を受けることとなった。
ミライはゆっくりと、コハルの掌をつかんだ。
「私たちがついているので、安心してくださいね」
コハルは握られたばかりの手を、強く握り返していた。
「ミライさん、ありがとうございます。とっても温かいです」
ミライと一緒にいることで、コハルは安心感を得ている。コハルにとって、精神を安定させる役割を担っている。
コハルは空いている手を出した。
「アカネさん、手を繋いでください」
「はい。どうぞ」
アカネが手を差し出すと、コハルは噛みしめるように握った。
「アカネさんの温もりも最高ですね」
手の温もりから、高校時代のデートを思い出す。コハルの体温は、大好きだった男性に近いものがある。
「二人と手を繋いでいるだけで、困難を乗りこえられそうな気がします」
コハルは一歩、二歩、三歩と足を踏み出していく。一歩一歩の足音に、彼女の意志の強さを感じられた。