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253 降りてきたのは

ハクの祖母はまだ目を覚まさない。

我もハクと力を合わせて、魔力を送っているが霧散してしまう。
みんなも頑張ってくれているが…
はちみつレモン水も、なかなか上手く飲んでくれないようだし、青葉たちも結葉の素材を扱いきれてないようだ。

『薄花、だいたい薬が塗れたら、あとはフィオに任せて青葉たちを手伝ってくれるか?』

『わかりました。フィオ、大丈夫?』
『だいじょうぶ!あおばちゃんたち、おねがい!』
『ありがとう!行ってきます!』
『うん!』
『頼んだぞ』
『はい!』

『フィオ、悪いな。頑張ってくれ!』
『まかせて!』

『青葉たちも頑張ってくれ!』
『『『はい!』』』

『ヴェル、アーブ、そのまま続けられるか?』
『『まかせて!』』
みんなそれぞれ根気強く自分の出来ることをしてくれている。
あとは、

『ハク、大丈夫か?まだ頑張れるか?』
『うん!諦めないよ!頑張る』
『偉いぞ!』

その時、

『なっ!?』
『うわ~?』
『『『なになに?』』』
『『『『まぶしい~』』』』

パーッと光が!眩しさのあまり思わず目を閉じてしまったが、この光は!
恐る恐る片目からゆっくり開いて確かめると、やはり神が降臨されるところだった。しかも二本も光の柱が!ということは二柱も?今回はどなたが?やがて、光の中から現れたのは

〖偉いわ。ハク。そうよ、諦めないで〗
花冠をつけた女神がハクを撫でながら励ます。その花冠は…

『もしかして、シア様~?』
ハクも気づいたようで女神に尋ねると静かに微笑んで頷かれた。

〖ええ、そうよ。私は女神シア。あなた達にどうしてもお礼を伝えたくて来てしまったわ。でも、挨拶は後でね。さあ、私達も手伝うわ。医神お願いします。私はあちらに〗
〖承知した〗
なんと、医神様が!なんとありがたい!

『医神様、お願い致します』
『医神様、お願い!おばあちゃん助けたいの!』
『『『おねがいします!』』』
ハク、それに妖精トリオと共に医神様にお頼みする。これがゲンが言っていた、藁にもすがる思いというものか···

医神様は、生真面目そうな見た目だが、それに反するような優しい笑顔で微笑んで下さった。ハクを安心させるように撫でながら

〖分かっていますよ。優しい子。君の中の白き光、それを目覚めさせましょう。その前におばあさんを診させてくれますか?〗
『うん!お願いします!』

『ハク、一度下がろう。フィオ、ヴェル、アーブも』
『はい』
『『『う、うん』』』
戸惑いながらも妖精たちも下がる。
医神様はハクの祖母に優しく触れると

〖ふむ。ゲンの助言を聞いておいて良かった。まさにこういうことなのですね〗
ゲンの助言?なんだ?

『ハクでしたね。ちょっと君を見せてもらっていいですか?』
『ぼく~?』
〖そうですよ。見せてもらえますか?〗
『よくわかんないけど、いいよ~』
〖ありがとうございます〗
なんだ?ハクに怪我は無いはずだが…

〖ふむ。なるほど。やはり本を見るだけと、実際触れて確かめるのとでは違いますね。しかし、知識というのはこうも重要とは…改めて勉強になります〗
何か、噛み締めるように呟いていらっしゃるが···

『医神様、大丈夫~?』
ハクも心配になったようだ。

〖ああ、申し訳ない。大丈夫ですよ。ハクとゲンと、みんなのお陰でおばあさんは助かりますよ〗にこ
『ほんとう~?』
〖ええ。本当です。さあ、私もお手伝いします。もうひと頑張りしましょう〗にっこり
『うん!』
良かった、希望が見えてきた。

『医神様、よろしくお願い致します』
『『『おねがいします!』』』
〖はい。お任せ下さい〗
にっこり笑う医神様はとても優しい光に包まれていた。


一方、青葉たちのところに向かったシア様は

〖これは精霊樹の素材ですね〗

『は、はい。あの…』
『その花冠』
『もしかして』
『シア様?』
シア様の花冠の花には、青葉たちが集めたあの花が

〖はい。皆さんのお陰で目覚めることが出来ました。ありがとうございます。後ほど改めてお礼をしますね。それより今は…〗
じっと、まだ完成しないポーションを見つめるシア様。

〖青葉さん?〗
『は、はい。あの、あの、青葉で大丈夫です』
〖では、青葉、あなたの葉と樹液はありますか?〗
『は、はい。あります』
〖そんなに緊張しないで?あなたの葉と樹液もここに入れてみましょう。おそらく、それで大丈夫ですよ〗
『は、はい!』

青葉が言われた通りに、急いで入れると、

パァァァっ
『え?』
『『『光った…』』』
あれだけ上手くいかなかったポーションに変化が

〖やはり、これで親和性が高まったみたいね。魔力を注いでみてくださいな。今度は入りやすいはずです〗

『『『『はい!』』』』
『『『『ん~~』』』』
すると、一瞬、光がつよくなって収まる。そこにあるのは

『『『『出来た…』』』』
あんなに手こずったポーションが、完成した。シア様を見ると、優しく微笑みながら見守ってくれていた。

〖よく頑張りましたね。さあ、あちらに行きましょう〗
『『『『はい!』』』』

そして
〖ハク、私が誘導します。ハクのお陰で体の構造のイメージが出来ました。損傷した臓器、血管、神経、魔素経路を修復しながら進みましょう〗
『はい!』
なるほど。先程は同じ種族であるハクの体の中を覗いて、細かい構造を確認したのか。

〖では、ハク。これが癒しの魔力です〗
医神様がハクに触れて魔力を流す。
『うわぁ白い光?ポカポカしてる~?』
〖あなたの中にもありますよ。探してみてください〗
『わかった~』
ハクが目を閉じて探していると、ぴくっと瞼が動いた。

『医神様~これかな~?』
ハクが白く光りだした。

『うわぁ』
『ハク』
『きれー』
妖精トリオが感嘆の声をあげる。

にっこり笑う医神様
〖そうです。よく出来ましたね。では、今度はそれをおばあさんに流しましょう〗
『うん!』
ハクが魔力を流し出すとハクの祖母も光出した。その時

〖医神、ポーションも出来たわ〗
シア様が青葉たちを連れて戻ってらした。
〖ありがとうございます。あなた達も頑張りましたね〗
『『『『あ、ありがとうございます』』』』

〖では、妖精たち〗
ヴェルとアーブを医神様が見る
『『はい!』』
〖先程、素晴らしいやり方でお薬を口に流し入れていましたね。あの方法で今度はこちらを少しずつ飲ませてあげてください〗
ぱーっと二人の顔が輝いた
『『はい!』』
〖あなたは薬を塗ってくれますか?〗
『はい!』
フィオもやる気に溢れている。
『『『『私達も手伝うよ』』』』
『『『うん!』』』
薄花とフィオが塗り薬を、青葉が薬を注ぎ四人は二手に別れて葉と茎を支えることにしたようだ。
そうこうしてると、
『あっハク!』
『のんでくれたよ!』
口元で茎を支えていたヴェルとアーブが叫んだ。

〖良かった。もう一息です。頑張りましょう〗
『うん!おばあちゃん、頑張って!』
ハクが呼びかけながら魔力を流すと

ぴくっぴくぴくっ
『あっ』
『みて!』
フィオと薄花が祖母の目を指す
『『『動いてる!』』』

静かにハクの祖母が、眼を開けた。
『おばあちゃん!大丈夫?』
『あ、坊や…?』
『おばあちゃん!良かった~』
ハクが泣きながら祖母に顔をすりつけている。

〖もう大丈夫ですよ〗
〖みんなよく頑張りましたね〗
シア様と医神様が笑いかけて下さっている

『『『うん!』』』
『『『『ありがとうございました!』』』』

シア様と医神様がうなずいて下さった。
良かったな。ハク。
みんなもよく頑張った。

さあ、サーヤたちの元へ戻ろう。


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