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251 頼もしい子たち

空の上からハクの祖母の元に降りるため、少し開けた場所を探すが、ここは深い森

『少し離れるな…』
そう呟くと、

『アルコンさま!』
『だいじょうぶ!』
『きがよけてくれるって!』
妖精トリオがどうやら覚えたばかりの念話で地上の木とやり取りしてくれたようだ。なんと頼もしいことだ。

『三人ともありがとう。では行くぞ!』
『『『はい!』』』

妖精トリオの言葉通り木が避けてくれた。地面に近づいたところで待ちきれなくなったハクが飛び降りた。続いて青葉たちも。我も人型になりながら降りる。

『おばあちゃん!おばあちゃん!しっかりして!』
ハクが祖母に駆け寄り、体を揺するが反応がない…

『大変、すぐポーションを作りましょう。千草!』
『任せて!青葉!』
青葉と、水草の薬草の精霊である千草が中心になってポーションを作るようだ。

『『『あっ!』』』
『あおばちゃん、うすはな、つきくさ、ちぐさ!』
『あれ!さきにアレだして!とくべつなはちみつ!』
『これだけじゃ、きっとたりない!』
妖精トリオは、ハクの祖母を見て、自分たちの分では足りないと判断したらしい。

『『『あっ!』』』
『そっか!』
『レンゲ女王様の』
『特別なハチミツ!』
『そうか、ポーション作る間に飲んでもらいましょう!』
青葉たちも妖精トリオがしようとしてることに気づいたようだ。

『わたしたちに』
『まかせて!』
『はちみつレモンすいもあるよ!』
なるほど。ぐったりしたハクの祖母に飲ませるには、特別な蜂蜜をはちみつレモン水に混ぜた方が確かに飲ませやすいだろう。

『青葉、千草、二人はポーション作りを初めて!』
『ぼくたちはフィオたちとこっちを混ぜたら行くよ!』
『『分かった!』』

妖精トリオと青葉たちが力を合わせてくれている間に

『おばあちゃん!おばあちゃん!』
『ハク、落ち着くんだ!』
『あっ、アルコン様』
ハクに落ち着かせて、魔法を使える状態にしなくては

『いいか、まずは魔力を落ち着かせよう。ジーニ様の言葉を思い出すんだ』
『ジーニ様の?えーと、えーと、お腹の下のぽかぽかを身体中に巡らして』
『そうだ。やってみよう』
『うん』
ハクがだんだん自分の中の魔力に集中しだした。

『そう。うまいぞ。その調子だ』

つんつん。ん?

『アルコンさま』
『とくべつなはちみつ』
『さきにもってきた』
『結葉様の樹液も入ってます』
『はちみつレモン水と溶かしてみたよ』
妖精トリオと薄花と月草が小声で伝えてきた。

『ありがとう。少しずつ口に流し込むんだ。それと特別なはちみつと樹液は残っているか?』
『すこし』
『でも、はちみつなら』
『あるよ』

『充分だ。それを傷に塗ってみてくれ。少しは違うかもしれん』

『『『『『はい!』』』』』

『『ぼくたちでのませるよ』』
ヴェルとアーブ
『わたしと、うすはなで、ぬりぐすりつくろう!』
『分かったわ』
フィオと薄花
『じゃあ、ぼくは青葉のところに行くよ!』
月草と青葉と千草に分かれ、それぞれ分担するようだ。

『頼んだぞ』
頼もしい子たちだ。そちらは任せよう


『あっ!ヴェル!あのくさは』
『ストローそうだ!とってくる!』
ぽきっと折って取ってきた物は太めの茎にてっぺんに一枚の葉がついていたて、茎の中は空洞になっている。
『クリーン!きれいにしたよ!』
おいちゃんに口に入れるものにはクリーンをかけるように言われていたのだ。
『じゃあ、はっぱをコップみたいにまるめて、よし!』
『くきはおくちに!』
茎をハクの祖母の口に何とか押し込む二人
『『よいしょ!よいしょ!はいった』』
『ぼくおさえてる!』
『じゃあ、アーブながすよ!』
『いいよ!』
『すこしずつ、すこしずつ』
とくとくとくとく
『あっ、きたよ!でものんでくれない!』
『あきらめちゃだめだよ!』
『うん!ハクのおばあちゃん』
『『がんばって!』』


『とくべつなはちみつ、あおばちゃんはつかわないかな?』
『青葉も持ってるから大丈夫!』
『よかった!じゃあ、さきにきずのおおきさみなきゃ!』
『そうだね!』
『うわぁ、あたまとせなか、ひどいね』
『足も切り傷あるけどそれほどじゃないみたい』
『じゃあ、ぶつかったときだね』
『そうだね。うん。やっぱりハチミツも使わないと足りないね』
『いそごう!』
『うん!』
『あ、でも、おおきなうつわ…』
『ないね。どうしよう…』
フィオが何かないかとキョロキョロすると
『あっ!うすはな!あのはっぱ、なんまいかおおきいのとってきてくれる?』
『あれ?』
『うん!みずをはじくの!そのあいだにわたしはつたでカゴつくる!』
『分かった!』
『みずがもれないように、こまかく、つたさん、おねがい!えい!』
フィオがツタでカゴを作ったところに
『フィオ!持って来たよ!』
『ありがとう!じゃあ、これをしいて、クリーン!』
『じゃあ、入れるよ!』
『うん!』
『特別なハチミツと、ハチミツ、樹液』
とくとくとくとく
『まほうでまぜよう!』
『サーヤが畑でやったやつだね!じゃあ、せーの!』
『『えい!まざれ~』』
ピカーっ
『『できた!』』
『じゃあ、ぬらなきゃ!』
『うん!』
ぬりぬりぬりぬり
『『ハクのおばあちゃん!がんばって!』』


『青葉、千草!どう?出来そう?』
『月草、ちょうど良かった!』
『もう少しなんだけど魔力足りないみたいなんだ!』
『分かったよ!』
『『『混ざれ~えいっ』』』
でも···
『なかなか混ざらないわ』
『何か違うのかな?』
『そんなことは無いと思うんだけど…』


『ハク、上手く回せてるぞ。今度はお前と祖母を繋いで巡らすんだ。我も手伝う』
『うん』
これは酷いな…魔力を回そうにも所々切れている。修復しながら進むしか……間に合うか?
『アルコン様、どうしよう…魔力が途中でパーッて散っちゃう』
『落ち着くんだ。少しずつ修復、治しながら繋げていくんだ』
『分かった~』


その頃·····
〖苦戦してるね…可哀想に。まだ目覚めきっていない内に実践は辛いよね。魔神ちゃんもあそこから今離れるわけにもいかないし…〗
〖〖……〗〗
〖僕が行きたいところだけど、二人お願いできるかな?〗
〖もちろんです〗
〖是非行かせてください〗
〖うん。よろしく頼むよ〗
〖〖はい。行ってまいります〗〗
二柱の神が光となって消えた。その場に向かって呟く
『頼んだよ。力になってやってくれ…』

☆。.:*・゜☆。.:*・゜
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