187章 事件がおこる
15:00にさしかかろうとしていた。
「ミライさん、身体はだいじょうぶかな?」
「はい。まだまだいけますよ」
「身体が苦しくなったら、いつでもいってね」
「わかりました」
20くらいの女性がくじを引こうとしていると、会場に悲鳴が響き渡ることとなった。
「キャーーーーーー」
声の大きさからして、一刻を争う事態なのは明白だ。悲鳴のした方向に、身体をワープさせる。
アカネがワープした先では、腹部を刺された女性が倒れていた。目はかろうじて開いているものの、かなり危ない状態である。
腹部を刺された女性に対して、回復魔法を使用する。すぐに効果は現れ、女性は元気になった。
奇跡的な回復を見せたことに対して、会場はおおいにどよめくこととなった。
「出血多量の女性が回復した」
「奇跡だ・・・・・・」
「アカネ様の魔法はすごすぎる」
「『セカンドライフの街』の護り神だ」
一命をとりとめた女性は、頭を深く下げていた。
「アカネさんのおかげで、一命をとりとめることができました。本当にありがとうございます」
被害者の回復の次にやるのは、犯人を特定することである。女性を刺した男を、牢獄に送り込
まなければならない。
「腹部を刺した男は、どっちにいったんですか?」
「あちらに逃げていきました」
「わかりました。すぐに追跡します」
「私もついていきます」
犯人と顔を合わせたことで、嫌な記憶がフラッシュバックすることになる。彼女にとっては、
デメリットが大きい。
「気持ちはありがたいですけど、一人で行きます」
「私にも行かせてください」
「悪い記憶がよみがえってもいいんですか?」
身体の治療はできても、刺された記憶を消すことはできない。男と顔を合わせたら、深いトラウマが刻み込まれることになる。
「それは嫌です。私の代わりに、敵を打ってください」
犯人を追跡すると、一分ほどで特定することができた。
男の見た目はやくざそのものだった。こいつの容姿なら、人を刺しても不思議はない。
「女性を刺したのは、あんたなの?」
男は包丁を持ったまま、こちらに向かってきた。
「そうだ」
「刺した動機は何なの?」
「結婚の要求をはねつけたからだ」
こんなくだらない理由で、女性の命を奪おうとしたのか。最低すぎる同期に、同情の余地はなかった。
「私の前で事件を起こしたからには、タダでは済まさないからね」
アカネは魔法を使用して、殺人未遂犯を牢獄に送り込んだ。
「これでよし・・・・・・」
危害を加えたものは、二度と地上に出ることはない。腹部を刺された女性は、安定した生活を送ることができる。