186章 大一番
13:00になると、ミライが戻ってきた。
「アカネさん、戻りました」
「ミライさん、おかえりなさい」
ミライは隣の席に座った。
「アカネさんのおかげで、ゆっくりと休むことができました」
「午後も一緒にやっていこうね」
「はい、よろしくお願いします」
次にやってきたのは、12~13歳くらいの男女だった。顔は似ていないことから、赤の他人であると思われる。
男性がくじを引く前に、女性に声をかけていた。
「カオリ、『1等』をゲットしたら、籍を入れようね」
男性の言葉を聞いて、2人の間柄がはっきりと伝わってきた。結婚を前提に交際している、純粋なカップルである。
カオリと呼ばれる女性は、顔を赤らめていた。
「うん。ヒロキと結婚したい」
「1等」の確率は、おおよそ1パーセント。強運をつかむことによって、結婚することはできるのだろうか。
ヒロキがくじを引くと、「2等」と記されていた。お目当ての「1等」を、あてることはできなかった。
2等を当てた男性に、ミライはお金を渡した。
「100万ゴールドになります」
「1等」を当てられなかったことに対して、男性はがっくりと肩を落としていた。
「私が『1等』を当てて見せるね」
カオリがくじを引くと、「2等」と記されていた。
「100万ゴールドになります」
結婚はお預けになるのかなと思っていると、
「ヒロキ、結婚しよう」
と、カオリがいった。
「生活はだいじょうぶなの?」
「200万ゴールドがあれば、なんとかなるんじゃないかな」
カオリという女性は、ポジティブ思考で生きている。悪い意味でいうと、後先を考えない性格である。
「でも・・・・・・」
ヒロキという男は、前に進めないタイプのようだ。
「結婚というのは、勢いが重要なんじゃないかな」
「そうかな」
「うん、これからも支えっていこう」
男は決心がついたのか、
「カオリのために、力を尽くしていく」
「私も一生懸命頑張るね」
カップルは手を繋いで、会場を後にする。その姿を見ていると、幸せの絶頂であるのを感じさせた。