第21話 ビデオ通話
「優〜見えてるかな?大丈夫?」
隼の誕生日の夜。
この日隼は放課後、彼女である雨宮とデートをしていた。
そして俺は、帰宅後に少しだけビデオ通話をさせて欲しいと頼み込んで了承を得た。
隼は自分の部屋の机にスマホを設置し、画面を覗き込むようにして俺に確認した。
「ああ。見えているよ。俺の方も問題ないか?」
「うん!大丈夫!」
「それはよかった。それにしても隼、お前の部屋を久しぶりに見たな。」
「確かに、最後に遊びに来たの小学生の頃だもんね」
「そうだな。俺程ではないが、男にしては綺麗に整頓されてる方ではないか?」
「ありがと!優の部屋はそもそも物が少なくてめちゃくちゃシンプルだからね。埃一つ無さそうなくらい常に綺麗だよね」
「まあ、極度の潔癖だからな」
通話を初めて序盤は、互いの部屋の感想などを言い合い、当たり障りのない会話をした。
隼は何度も俺の家に来ているから何も思わないだろうが、俺は久しく隼の部屋に行っていないということに加え、好きな人の部屋を見ているという事実に少し胸が高まっていた。
隼の部屋は、普通の綺麗好きな男の部屋という感じだ。
壁には隼の憧れているテニスプレーヤーのポスターが飾ってあり、服も丁寧にハンガーにかけられている。画面の端に映るベッドもきちんと掛け布団が広げられていて、その上には畳まれた部屋着も置かれていた。
「……ねえ優、俺の部屋見過ぎじゃない?」
隼は俺の目線に気づいたのか、そう言って笑っていた。
「そんなに気になるなら今度来る?特に面白いものも無いけどさ」
変わらず笑いながら誘ってきた。
……今の俺たちの関係的に、自分の部屋に招くということの意味が、一般的な誘いではないということを自覚しているのだろうか……
隼はまるでそういう意図などないようにサラリと誘っている。
が、こいつも油断ならない男だ。
その気がないのかと思いきや、突然俺へ色仕掛けをしてくる。
最も、隼は意識的に色仕掛けをしている訳ではないのだが、自分の迸る性欲を無意識のうちに色気として発生させているのだ。
「ああ。今度お邪魔するよ。」
「うん!五郎とか瑠千亜とかも誘って、皆で泊まろうよ」
「……ああ……そうだな……」
やはり、隼にとって深い意味はなかったようだ……。
「それより隼。今日、雨宮からは何を貰ったんだ?」
「あ、んとね……これ!」
俺の突然の質問に、隼は嬉しそうに雨宮から貰ったものを取り出して俺に見せてきた。
「yo○exのロングTシャツにポロシャツか。…そのポロシャツ、お前が欲しがってたやつじゃないか?」
「そうなんだよね!俺が前から気になってたのを覚えてくれてて、買ってくれたんだ。後このロンTも、これからの時期に必要だろうからって。」
「確かに。毎日練習があるから、練習着はいくらあっても良いな」
「うん!しかもこのロンTとポロシャツ、実は梨々とお揃いなんだよね……」
隼は若干顔を赤らめて、恥ずかしそうに言った。
「そうかよかったな。服装が被る日があれば面白いな」
「そうだね!……あと、これも貰っちゃった」
「これは?」
「梨々が手作りでクッキーとマフィン焼いてくれたんだ。メッセージカードも付けてくれた!」
そう言いながら隼が見せてきたのは、小さな花の装飾やキラキラしたシールなどが貼られているピンク色の袋と、オレンジ色の秋桜が描かれているメッセージカードだった。
半透明なその袋から見える手作りの菓子の見た目といいそのラッピングのセンスといいメッセージカードの雰囲気といい、全てケーキ屋で買ってきたと言われても疑わない程のクオリティだった。
「そうか。すごいな。それが全部手作りだなんて」
「すごいよね!!ちょっとずつ食べたけど味もお店のものみたいに美味しかった!…いや、気持ちがこもってるからお店のより美味しかった!」
「そうか、それはよかったな」
隼は心底嬉しそうにニコニコしながらプレゼントを見つめ、俺にそう惚気てきた。
さすが、隼のようなモテる男を捕まえるだけある。
雨宮のセンスや気遣いに脱帽しながらも、隼が幸せそうにしているのを見ると、少しばかり複雑な気持ちになる。
こいつらは、本当に心の底から愛し合っているんだな……
そういう事実を認めるしかないからだ。
「ところで隼、瑠千亜たちから貰ったプレゼントはどうした?」
俺は今日ビデオ通話した目的を果たすため、本題に入った。
隼は俺の言葉を聞き、「えーと…」などと言いながら大きな袋を漁っている。
隼は女子からも男子からも後輩からも先生からも大人気だ。
それ故、毎年誕生日には大量のプレゼントを貰っている。
だから、貰ったものたちを大きな袋にまとめて入れて持ち帰る羽目になっている。
雨宮と付き合うようになって以降、女子からのプレゼントは減ったが、靴棚や机の中に無記名で入っている物に関しては捨てるわけにもいかず持ち帰っている。
また、部活以外の後輩からもわざわざ教室まで来て渡されたり、数人の先生たちからもちょっとした菓子などを貰っている。
ここまで人に愛される男を俺は見たことがない……
だけどこいつが万人に愛される理由など、俺が一番近くで実感しているはずだ。
「……これだね」
俺がそんなことを考えていると、隼は瑠千亜たちから貰ったものを袋から見つけ出していた。
「隼、お前それ貰ったとき正直どう思った?」
「え?どうって……」
「俺は正直優越感に浸っていた。隼は俺のモノが好きだからな。そんな玩具では満足しないだろうと思って」
「ええっなにそれ……!」
「実際そうだろ?」
俺は隼の目を見て言葉を遮り、隼の核心を突くように聞いた。
「………そりゃ、そうなんだけど……けど優と毎日できるわけでもないし……一人でするときとか、優のを思い出してできるかなとは思ったよ」
隼は意外にもあっさりと本音を吐露した。
隼の言葉に、俺は何故だか予め予想していた通りだと思った。
「そうか。一人でする時も、自分の指よりもずっと太いものを挿れた方がより俺のモノに近づくからな」
「うん……」
「じゃあ隼、今それを使ってみろ」
「ええ!今!?」
「ああ。今このままビデオ通話を繋げたままだ。」
俺はこれがしたかったのだ。
隼が玩具を使って自慰をするのを見ること。
普段俺とする時とは違う姿も見れそうだから。
それに、一人の時のこいつを知ることの方が、こいつの秘密の部分というか…プライベートな部分を垣間見る事ができるような気がしたから。
「隼もそういうのを使うのは初めてだろ?間違った使い方をすれば、体を傷つけたりそこから病気になったりするんだ。」
「ええそうなの?」
「そうだ。だから、俺が正しい使い方を教えてやる」
「うう……教えてはほしいけど……恥ずかしいな」
「今更何を恥じることがある」
「だって……!普通に一緒にするのとは違うじゃん…普段過ごしてる部屋で一人でするのを見られるのはなんか余計に恥ずかしい…」
隼も俺と同じことを感じているようだ。
しかし、俺はだからこそ見たいのだ。
「いいから、やるぞ。……まず隼、前に俺が渡したゴムはあるか?」
「ゴム……?ああ、あるよ」
「それを絶対につけなきゃ駄目だ。生で玩具を使うことはとても不衛生だからな」
「そうなんだ……ってこれホントにやる流れなの!?」
「当然だ。………隼、頼むよ」
俺は隼の目をじっとみつめて真面目な顔で頼み込む。
俺は、隼が俺のこうした行動に弱いということをよく知っている。
「………分かったよ……」
観念したように照れながら隼はそう言う。
「よし。ではまず、俺のことは気にせずにいつものように始めてくれ」
「え?いやいや気になるよ……」
「では俺も抜くとしよう。一緒にやればそこまで恥ずかしくはないだろ?」
「えええ………」
俺はそう言いながら既に自分のモノを露出させた。
「…ほら、見ろ隼。お前とこんな会話をしているだけで俺のはこんな風になってしまっている…」
そう言いながら俺は自分のモノを画面に近づける。
隼はそれを見ながら、ごくりと唾を飲み込んだ。
そのときに動いた喉仏が、とてつもなく色気を含んでいた。
「……はぁ……隼、気持ちいい…」
俺は画面の向こうで戸惑う隼に見せつけるようにして自分のモノを扱いた。
徐々に隼の顔が欲に素直になっていくのが見えた。
「……隼、頼むよ…一緒にしてくれ…」
俺の切羽詰まった懇願を見て決心したのか、隼は自分のモノに手を持っていった。
服の上から軽く自分のを撫でるようにしているその手つきが、何故だかとてもエロく感じた。
「隼……自分のを直接触ってみろ…」
「うん……」
俺はあくまで隼の気分を作るために自分のを扱いているだけだ。
間違ってイかないように調整しながら、隼の欲望が全開になるまで誘導する。
「隼……お前のもはち切れそうなくらい大きくなってるじゃないか……」
「………最近してなかったから……」
「確かに、俺とも出来てなかったからな。……隼、そのまま扱いてみろ」
隼は今にも溢れそうな欲を我慢できなくなったのか、俺の言うことに素直に従う。
「……はあっ……はっ………」
隼は小さく声を漏らして息を切らしながら自分のを懸命に扱く。
何気に隼が抜いているのを俺は初めて見た。
少し俯いて口を小さく開け、モノへの刺激に合わせて体を震わせながら抜くその姿は、何故かとても綺麗で優美で……そしてとても、エロかった。
「隼………そのまま亀頭だけ弄ってみろ」
「え……」
「先っぽをグリグリする感じだ」
「………っ!あっ…」
「そうそう、その感じを続けろ」
俺は隼に亀頭の集中攻めを指示した。
隼は素直にそれに従い、右手の指を使って先だけを弄っている。
「…あっ!あっ!優…これだめっ」
「何が駄目なんだ?隼」
「ああっ!なんかこれ…へん…」
「大丈夫だからそのままいじってろよ隼…」
「あああっ………」
ガクガクと腰を震わせ声が大きくなる。
「あっ……優……!出るっ!!あっ!ああっ!!」
大きく仰け反った隼は、同時に大量の潮を吹いた。
潮を吹き続けても止められない手には、次から次へと透明な水のような体液がかかる。
「隼、まだ手を止めるな。同じように先を集中して攻めろ」
俺は隼に亀頭攻めを続けることを指示した。
「えっ……あっ!あっ……やばいっ……ああっ」
隼はビクビクしながらも俺の言う通り手を止めない。
「あっ!優……!また出るっ!!ああああっ」
「出せ、隼。どんどん出せよ」
「ああっ!!!」
再び全身をビクビクさせながら潮を拭く。
隼の前には水溜りができていた。
そして、服を着たままの上半身にも勢い良く潮が飛んだため、Tシャツはびっしょりと濡れていた。
「…はあっ……はあ……あっ………」
「気持ち良いか?隼。もう潮まみれじゃないか」
「……はぁっ……んっ……イキたいっ……」
「まだ駄目だ。」
隼はまだビクビクしている自分のモノをもどかしそうに動かしながらイキたいと言った。
俺はそれに対してまだ駄目だと伝え、隼のモノを焦らす。
「隼。イくならばまずは今日貰ったディルドを使ってイけ。……ゴムを被せてローションを塗りたくるんだ」
早速今日貰った玩具を使わせるべく、俺はそう指示した。
隼は何も言わずに素直に俺の言う事を聞き、ディルドにゴムをつけた。
「隼、ローションの塗り方は分かるか?」
「わかんない……」
「…まあローションはもう少し後でいい。まずは自分の指で解せ」
隼の後ろにまだ触れていなかったことに気づき、俺は指で慣らすよう言った。
「………はぁっ……ああっ…………」
隼は自分の指を挿れて甘い声を漏らす。
「隼。俺の方に…カメラの方に尻を向けてやってくれないか?」
「ええっ……」
「頼む。見せてくれ」
「やだよ……はずかしい……」
「じゃあもう玩具の使い方も教えてやらないし、俺とヤるのも無しだな。」
「ええっ……なんで…」
「それが嫌なら俺の言うことを聞くんだ」
俺の脅しのような言葉に、隼はモジモジしながらも尻をこちらに向けてくれた。
「ああ、ありがとう隼。そのままさっきの続きをしろ」
「見られてると思うと……めちゃくちゃ恥ずかしい……」
「大丈夫だ。直に気にならなくなる」
隼は恐る恐るといった感じに自分の穴に指を挿れた。
「……んっ!」
挿れた途端に隼はビクッ!と反応した。
その様子が画面の前に大きく広がっていて、俺は言いようのない興奮を覚えた。
「いいぞ隼。そのまま動かすんだ」
「あっ!あっ………んっ…」
「気持ち良くなることだけを考えろ隼。……俺としてる時のことを思い出せ」
「あっ!あっ!優っ………あっ!」
「気持ち良いか?」
「うんっ………優……気持ちいい…っ」
先程までの恥じらいは捨てたかのように、隼は腰と指を激しく動かしている。
「………あああっ!だめっ!イくっっ!」
指を挿れてから然程経っていないというのに、隼は目の前でビクビクと穴を震わせて果てた。
「……気持ちよさそうだな隼……」
俺は目の前で繰り広げられた隼のアナニーについ見入ってしまっていた。
大好きな奴のオナニー……
画面越しだからこそ、細かい動きも近くで見ることが出来た。
「隼、次はローションを自分の指に塗ってみろ。それでさっきと同じようにまた挿れるんだ」
隼は指示の通り、ローションを1滴指に垂らした。
「つめたいっ……」
小さくそう呟いた隼は、そのまま指を再び穴へと持っていく。
「っっ!わあっ!なにこれ!」
「どうだ?ヌルヌルして気持ち良いだろ?」
「……っうんっ……気持ち良いっっ」
初めて使うローションの感覚に、隼はさっきまで以上に激しく動いている。
きっと隼の意思というよりも、自然と腰と指が動いてしまっているのだろう。
ただただ気持ち良さに身を任せるその姿は、他の人は決して見る事ができない隼の本能。
「あっ!ゆうっ……またイきそ…っ!」
「ああ。イけ隼」
「あっ!あっ!あああっ!イくぅっっ」
ビクンッ!と体を大きく震わせたと同時に穴から指が離れる。
背中を反って下半身をビクビク震わせて快楽に溺れている隼が、画面の向こうにいる。
「……隼、今のお前……最高にエロいぞ」
俺は思わず本音を呟いた。
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しかしそれらの動画のどれよりも、画面越しの隼の自慰が最もエロくて興奮する。
俺のアソコも疼いてきている。
気を抜けばつい、アダルトサイトを見ている時のように手がソコに触れてしまいそうだ。
俺はそれを必死に抑えて、隼に続きの指示を出す。
「隼、そろそろディルドを使ってみよう」