217 その頃、泉の中では
少し戻って、地上でみんながもぐらさんと話してる頃、泉の中では
『うぅ~ん・・・』
『あっ!青葉!』
『気がついた?』
『大丈夫?』
『『おきられる~?』』
『『いま、じぃじたち』』
『『ちじょうにいってるよ~』』
あまりに成長した水の精霊樹を見て、気絶しちゃった青葉ちゃん。薄花たち泉の精霊や、妖精たちの呼びかけで目を覚ましました。
『だ、大丈夫。ありがとう』
『良かった~』
『でも、驚いたね~』
『結葉様が言ってたことって』
『『『『『『こういうことだったんだね~』』』』』』
みんなで大きくなってしまった水の精霊樹を、呆然と見上げる。
『でもさ、これ、まずくないか?』
『あっ!そうよね?どうしよう』
水の精霊樹を見上げてた千草が何かに気づいて声を上げると、一歩遅れて青葉が千草の言いたいことに気づいたみたいです。でも、慌てるようなことって?
『千草?青葉?何がまずいの?』
『大きくなるのはいい事じゃないのか?』
青葉たちがどうして慌てているのか分からない二人が聞くと
『青葉は気づいたみたいだけど、薄花も月草も気づかないか?だってさ、精霊樹、今からまた大きくなるかもしれないってことだろ?』
『『あっ!』』
千草の話でようやくみんなも分かったようです。
『そうだよ。これ以上でっかくなったら』
『天井にぶつかっちゃうわよね』
うん。と、頷き合う青葉と千草。それを見たみんなも慌て出す。
『『ど、どうしよう』』
『『『『『『どうしよう~』』』』』』
そう。すでにギリギリなのに、これ以上大きくなったら・・・?みんなで悩んでると
『おぉ、青葉起きたようじゃのぉ』
『良かった良かった』
じぃじたちが帰ってきました。
『あっ、じぃじたち!』
『亀じぃ!』
『アウルとアルも!』
『おかえりなさ~い』
『『『『『『おかえ…あれぇ?』』』』』』
じぃじの背中には見たことのないお客さんが・・・
『『『『誰?』』』』
『『『『『『だれ~?』』』』』』
『彼はの、畑の下で昼寝してたらアイナ様に掘り起こされた』
『モール族の上位種だそうだ。のぉ?』
『は、はいなんだな。よろしく頼むだよ。オイラ、水中にある樹の根っこの周りにトンネル堀に来ただよ。これがその樹だかぁ。立派な樹なんだなぁ。だども、水の中にこんな樹さあるなんて、不思議なんだな。オイラ初めて聞いただよ』
もぐらさん、初めて見る光景にお口あんぐりです。
『まあ、精霊樹だからのぉ』
亀じぃがボソッと言うと
『はい?だ、だども精霊樹は地上に、ええ?』
もぐらさん、大混乱。
『これにはの、深い訳があるんじゃよ。だが、時間が無いからの。悪いが説明はあとじゃ』
『わ、分かっただよ。でも、聞くの怖い気もするんだな・・・』
もぐらさん、鋭い!
『さて、モール殿の見立てはどうかのぉ?何とかなりそうかのぉ?』
亀じぃがもぐらさんに聞くと
『ん~、あんまり地表を柔らかくするのは、確かにおすすめできないんだな。したで、地下を深めに解したらどうだか?地中に根を伸ばしやすくした方が安心でないだか?』
もぐらさん、戸惑いながらもできる限り冷静に対策を考えてくれました。
『ふむ。そうだの。確かにそれが一番かもしれんの。それじゃ、さっそく頼めるかの?』
『アウルとアルが、モール殿の後に続いて腐葉土を入れてけば良いのじゃのぉ?』
『はいなんだな。シールドはお願いしていいだか?オイラの手は出してくれると助かるんだな』
『分かっとるよ。ほっと・・・さ、これで大丈夫なはずじゃよ。それじゃあ頼むの』
じぃじのシールドを張ってもらったもぐらさんは
『了解なんだな!それじゃ、行ってくるんだな!』しゃっ
ぷるるん『『あっ、待って』』ぴょんっ
そう言うと、あっという間に根っこの周りをほぐすように何ヶ所か潜った後、本格的に地中に潜っていってしまった。その後を慌ててアルとアウルが追っていく。
『あ、あの、よろしく、お願いしま…』
青葉ちゃん、間に合わず・・・
『あ~』
『行っちゃったな』
『すご~い、速~い』
『『じぃじ』』
『『かめじぃ』』
『『どうなってるの?』』
状況に、ついていけない青葉ちゃん達
『それがの?地上でも水の中で腐葉土を蒔けるのか心配してくれてての?』
『そこにのぉ、あ奴が現れてのぉ、自分が小さいトンネルを掘ったらどうかと提案してくれたんじゃよ』
『そして、自分が掘ったトンネルに誰かが腐葉土を入れていけば良いのでは?との』
今どき珍しく出来た若者だのぉ。と、感心しきりのじぃじと亀じぃ。
『え?ろくに事情も知らないのに?』
『寝てる間に勝手に掘り起こされたのに?』
『な、なんていい人!』
『じゃなくて、いいモールさん!』
青葉ちゃん達、感動!
『それがの?そのいい人の性格が原因で仲間から置いてかれたそうなんじゃよ』ふぅ・・・
酷いことをするもんじゃ。と苛立ちを顕にするじぃじたち
『『『『えぇ?』』』』
『『『いいひとなのに?』』』
『『『どうして?』』』
青葉ちゃんたち、今度はびっくり!
『まあ、そうなるよのぉ。何でものぉ、毛色が違うと言うだけでいじめられとったらしいのじゃ』ふぅ・・・
ほんに、腹の立つ話じゃ。あんないい子にのぉ。と、亀じぃも怒りを顕に
『えぇ?あんな綺麗な色なのに?』
『色が違うだけで上位種を?』
『言っちゃなんだけど』
『そいつらバカなの?』
『『『いじめは』』』
『『『わるいんだよ~!』』』
青葉ちゃんたちも、あまりのことに呆れ、酷いことをすると怒る
『そうだの。ジーニ様曰く、そんな穢れた心を持っているから、聖域の、ましてや中心になぞ、息苦しくて居られなくなったのだろうとのことだ』
『中心から離れれば幾分楽になるだろうから、そこで浄化されて反省するんじゃないかとも仰っておったのぉ』
まったく!もし、ワシらが知っていたら懲らしめてやったものを!と、じぃじたち、お冠。
『そうだったの』
『でも、彼は』
『平気だったんだね』
『良かったな』
『『『『『『ほんとだね~』』』』』』
ほっとする青葉ちゃんたち。
『ああ、モール殿にはとても気持ちよかったらしいの。あまりにぽかぽか気持ちよかったから、寝ていたらしいからの』
『そうだのぉ。サーヤにもジーニ様にも気に入られておったしのぉ。そうそう、ジーニ様があとでサーヤに名前をつけさせると言っておったのぉ』
ほんに、いい子じゃ。と、優しいお顔になるじぃじたち。
『あらら、それじゃ大変』
『またサーヤの』
『へんてこ踊りの』
『出番だね』
『『『どんななまえに』』』
『『『なるかな~?』』』
『さてのぉ、どうなるかの?ほっほ』
『まあ、楽しみに待とうかのぉ。ほっほ』
みんなで、ほのぼの、そうだね~と笑いながら待っていると
『ふぅ~ただいま戻っただよ』しゅぽんっ
ぷるるん『『ただいま』』ぴょんっ
もぐらさんとアウルたちが戻ってきました。
『『おぉ、お帰り』』
『『『『おかえりなさい』』』』
『『『『『『おつかれさま~』』』』』』
『こんただ感じでいいだか?』
もぐらさんが、少し不安そうに聞いてきました。
『ほっほ。充分じゃよ。ありがとのぉ。ほんに助かったよ』
『ご苦労じゃったの。さ、こちらで休んどるといい。あとは、終わったあとジーニ様たちにお願いして見てもらったらどうかの』
『そうですね。では、アウル、アル地上に知らせてもらっていいかしら?モールさんはどうしますか?』
青葉ちゃんが先に地上に戻りたいか聞くと
『ん?オイラはここにいるだよ。地面になんか起こったら、確認できるのは多分オイラだけだと思うんだな。最後まで確認しないとなんだな』
当然だべ?と言うもぐらさん。
『な、なんていい人!』
『いい人すぎる!』
『だまされないか心配!』
『本当にそうね。モールさん、優しいですね。ありがとうございます』
『『『ありがとう!』』』
『『『『『『ありがとう~!』』』』』』
青葉ちゃんたち、感動のあまり涙が!
『え?えぇ?そんただこと初めて言われただよ~照れちまうだ』もじもじ
褒められ慣れてないもぐらさん、どうしていいか分からずモジモジ。
『ありがとのぉ』
『ほんに、助かったの。ありがとの』
そんなもぐらさんを、微笑ましいのぉと、見つめるじぃじたち。
『や、やめてなんだな~』くねくね
もぐらさん、耐えきれなくて、くねくね。
『ふふ。それじゃ、アウル、アルお願いね』
青葉ちゃんも、顔が緩んじゃってます。
ぷるん『まかせて』
ぷるるん『行ってくる』
ばびゅん!
アウルとアル発進!
『『『『お願いね~』』』』
『『『『『『いってらっしゃ~い』』』』』』
『さあ、それじゃ、ワシらも合図を待とうかの』
『そうじゃのぉ』
『『『『はい!』』』』
『『『『『『は~い』』』』』』
『はいなんだな!』
さあ、いよいよ!
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