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第8話 気分

隼は自分の言葉に自分で驚いているような表情をしていた。


「ほんとにいいのか?隼」


隼が俺との行為を許してくれることは何となくわかってはいたが、万が一にも断られた場合を思って多少不安になっていたところはあった。

「うん……」


俺の予想通り、隼は恥じらいながらも許してくれた。

しかし、隼はそんな自分に俺以上に驚いているようだった。


「さっき初めてと言っていたが…雨宮とはまだしたことはないのか?」


隼は彼女である雨宮と付き合って約1年。

俺の学園の周りの友達は、中学生の割にみんな早く貞操を捨てている。

もしかしたら隼も、とは常に考えていた。



「うん、したことないよ…」

「そうか。キスは?」

「キスまでしかしてない。それ以上は、
お互いが18歳になってからしようって決めてるんだよね」

「まだまだ先じゃないか。よく我慢できるな。」

「ほんとギリギリだけどね。向こうの気持ち次第ってところもあるし」



今更ながら、隼が自分の彼女と早くしたくてギリギリ我慢しているという事実に少し胸が苦しくなった。

こういったこともこれまでは当たり前のことだからとスルーできたが、今日はそうはいかない。

どうやら一度曝け出した俺のこいつへの感情は、今日は歯止めをかけることが不可能なようだ。



「俺とするのを許してくれたってことは、お前でも性欲を抑えられなくなったからつい興味を持ってしまったってことか?」

こいつからの許可はもう得た。
今日は俺の好きなようにこいつを扱ってもいいのだ。

そう思うと、普段は少しでもしてしまうと俺の制御が効かなくなりそうでできなかった性的な話もどんどんできることに気づいた。


「べつにそういうわけじゃないよ、!
誰でもいいからしたかったってのとは違うよ……」



こいつはわざとなのだろうか?天然なのだろうか?



「ふーん。てことは、俺だからしてもいいって思ってくれたんだ?」

つい意地悪くこんなことを聞きたくなるような答えをしてくる。

「いや、ちが……!」

「何が違うんだ?」

「えっ?いや、今日したら優が満足するっていうから…ずっと近くで俺が彼女作ったりするのを見てて色々我慢させただろうなって思ったから……その、俺も間近に好きな人がいるのにしたいことできない辛さはわかるし……」

「つまり同情か」

「いや!それもなんか違うというか…」

「お前も興味があったんだろ?俺とのセックスに」

「ええ…」

「素直に答えてみろよ」




グイっと隼の腰を引き寄せ、さっきまでよりも強い口づけをする。


俺が隼の唇を軽く舌で舐めると、隼は小さく口を開けた。

俺はそこに自分の舌をねじ込み、これでもかというほど貪り回した。


「……っんん……はぁっ……あ」


隼の甘い声が大きくなる。


隼の舌の感触が、息遣いが、声が俺の体に再び電流を走らせる。



スッ………

唇から口を離し、ゆっくりと隼の耳元へ運ぶ。

「……っっ!!」

隼がビクッ!と体を跳ねさせる。

俺はそのまま、隼の耳の縁を優しく舐める。


「……あっ………はっ……」

息が荒くなり、肩が震え、声が漏れる。
俺の舌が耳元で動くたびに、隼の体は素直に反応する。



「ああっ!!」

ふぅ、と耳に息を吹きかけると、これまでより一段と大きく体をビクッと反応させ、大きく声を出した。



「どうなんだ?隼。俺だからセックスしたいと思ったんだろう?」



耳元から離れ、とろんとした隼の顔を覗きながら再び問うた。

目が潤み、唇が物欲しそうに震えている。



「うん………優じゃなかったら、いやだった……優とだから、してみたいって思っちゃった」



思考回路がキスによって甘美な誘惑にシャットアウトされた隼は、素直に答えた。



隼の言葉が嘘ではなさそうだということは、こいつの体のあの部分が充分に示していた。

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