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ケイバーは支度を整えると毛皮のフードを被った。
「……まあ、俺達はまともな顔してるけど。本当に酷い顔はヤツだ。あいつの顔を見ていると、なんか哀れに感じるよな?」
ケイバーが不意にそのことを言うとギュータスは頷いた。
「ああ。奴の醜い顔は半端ねぇ、間近で奴の顔をみると鳥肌がたつぜ。あと気味が悪いあの喋り方なんとかならないのか? あいつが仲間じゃなかったら今頃は、ヤツをあの世におくっている所だ」
ギュータスがその事を言うとケイバーは思わず笑った。
「それなら俺も何度か考えた事がある。できたらあの醜い顔を全部剥ぎ取って、違う顔を奴につけてやりたい所だ」
2人はジャントゥーユの事を影で言うと、バカにしながらゲラゲラ笑った。
「神様もおいたがすぎるぜ。なんであんな醜い奴がこの世に生まれて来ちまったのか。どうせ生まれてくるなら、あの醜い顔を綺麗にしてから生まれてこいよ」
ギュータスが何気無くそのことを言うと、ケイバーは近くにあった椅子に腰をかけて話はじめた。
「――お前知らないのか。奴の顔があんな風に醜い原因は、両親に問題があったらしいぜ?」
ケイバーの何気ない話にギュータスは聞き返した。
「問題ってなんだよ……?」
「あいつの両親は近親相姦をしていたんだ。それも頭のイカれた兄貴が知的障害のある実の妹を強姦して出来たって話だぜ」
ケイバーは椅子の上で、怪しくにやつきながらその事を話した。
「マ、マジかよ…――?」
「それも一回だけじゃなく、何度も何度も犯して、できたって話だ。俺も女は犯すが、奴の親父のほうが100倍イカれてるのは確かだ。その上サイコ野郎で、人を300人近く殺しては、森で遺体をバラバラに切り刻んだらしいぜ。その異常性ぶりは凄かったらしく、気に入った部位を遺体から切り取っては瓶に入れて眺めてたんだ。奴はまさにシリアルキラーの血を受け継ぐ、サラブレッドみたいなもんだ。俺は奴がマジで切れた所は見た事がないからなんともいえねーけど、奴がキレたら面白い事がおきそうだな――」
ケイバーはそう言うと、椅子の上で足を組んで鼻で笑った。
「奴のオヤジがサイコだってことは聞いてたけどよ。まさかあいつが近親相姦で生まれた子供だったとはな…――!」
ギュータスは衝撃的な話を彼から聞くと、度肝を抜かれた顔でそのことを口にした。
「で、奴の両親はどうなったんだ? まだ生きてるのか?」
ギュータスは興味津々に聞き返した。すると、ケイバーはあっけなく答えた。