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口笛を吹くと何処からともなくと2匹のネズミが現れた。そして、2匹のネズミはジャントゥーユのもとへと近寄ったのだった。ネズミは彼が持っているチーズの欠片を欲しそうに待っていた。ギュータスは突然現れたネズミに驚くと、その場で声をあげた。
「うわぁ、きったねーネズミだ! どこから現れやがった!?」
ギュータスはそう言うと檻の側から急に離れた。2匹のネズミは彼の醜い顔に驚くこともなく、傍に近づくとなれた様子でなついていた。1匹のネズミは彼の肩の上に登り、もう1匹は手のひらに乗った。その光景を見ていたギュータスは気分がわるそうな顔をしながら皮肉を口にした。
「まさかソレ……そのこぎたねぇネズミ……! おっ、お前のお友達とか言う気じゃねーよな……!?」
ギュータスがそう話すとジャントゥーユは、ニタリと不気味に笑った。ヤツの不気味さがますます際立つと、全身に鳥肌がたつ程の寒気を感じた。ジャントゥーユは2匹のネズミを可愛がる様子で話した。
「こいつら利口……俺になついてる……命令すれば……紙切れ探してくれる……役立たずなお前よりも役に立つ……」
彼のその言葉にギュータスは言い返した。
「なんだとテメー!? 俺をドブネズミと一緒にするなっ!」
ギュータスはそう言うと怒りながら牢屋の中に入った。そして、ジャントゥーユを手で押すと、肩からネズミが1匹床に落ちた。ネズミが床に落ちると、ギュータスは怒りながら踏みつけようとした。床に落ちたネズミはすばしっこい動きで彼の足をかわして避けると、牢屋の中を好き放題に動き回った。ギュータスはネズミを足で踏みつけようと必死になったが力尽きて床に倒れ込んだ。そして、ネズミは再びジャントゥーユの肩の上に登った。
「ちっ! クソネズミの分際で俺様を舐めやがって……!」
ギュータスはそう言うと舌打ちをして睨んだのだった。ジャントゥーユは2匹のネズミを可愛がりながらギュータスに言った。
「コイツらは……他のネズミより頭が良い……利口で頭が賢いんだ……もう1匹いたけど今はいない……今は2匹だけだ……ケイバーがこの前コイツらの兄弟を殺した……それをあの少年に食べさせた……俺……許さない……でもあの少年……賢いネズミを食べた……きっと頭賢くなる…… ウヘ、ウヘヘへ………」
ジャントゥーユはそう話すと不気味に笑ったのだった。その話を聞いたギュータスはその場で思わず笑い始めた。
「クククッ。話しは聞いていたが、まさかそのネズミだったとはな……。これは笑わずにはいられないぜ……!」
彼はそう言うと再び面白そうに笑った。
「確かにそいつら食べたら頭良くなるかもな! ケイバーの奴も相当、頭イカれてるぜ!」
そう言って大きな笑い声をあげながら肩をすくめて笑い続けた。ジャントゥーユは2匹のネズミに命令をした。
「お前達これが欲しいか……? お前達が好きなチーズだ……紙切れをみつけたらご褒美にこれをやる……」
そう言って命令を出すと2匹のネズミは彼の言葉を理解したのか、傍を離れて部屋の中を動き回った。
ネズミは言葉がわかるのか、まるで彼の言葉を理解しているようだった。ギュータスは笑うのを止めると、ズカズカと牢屋の外に出て行った。そして、ジャントゥーユに話しかけた。
「なんだよお前、魔物使いか? ネズミなんかとお友達になってよ~、ますます気味が悪いぜ。気味が悪いのは顔だけにしろよな?」
ギュータスはジャントゥーユにそう話すと、牢屋の外で再び笑いを込み上げて笑ったのだった。すると彼が一言言い返した。
「黙れ!」
突然大きな声で言い返すと、ギュータスはジャントゥーユに言い返した。
「なんだとテメー!」
ギュータスはカッカしながら牢屋の中に再び入った。するとジャントゥーユは後ろを振り向いて話した。
「ギュータス……紙切れあったぞ………やっぱりコイツら利口だ……お前よりもな……ウヘヘヘ……」
ジャントゥーユはそう言って不気味に笑うと、人差し指をどこかに向けて指したのだった。2匹のネズミは壊れた木のベッドの前でチューチュー鳴くと、中から合図を送っていた。ジャントゥーユは壊れた木のベッドの方へ近づくと、手探りで調べ始めた。そして、しゃがんでベッドの下を覗いて見ると、ベッドの下の隙間に白い紙切れのようなものが挟まれていた。ジャントゥーユは紙切れをみつけると、目を細めながらニターッと怪しく笑ったのだった。木の間に挟まれている白い紙を指先でつまむと、それをゆっくりと抜き取った。ニタリと笑いながら白い紙切れを手にすると、それをもったままギュータスの方へと近づいた。
「紙切れみつけたぞ……俺はお前より賢い……お前がみつけられなかったこの紙切れを俺はみつけた……お前は暴れるだけしかできない……ただのマヌケな奴だ……」
彼はそう言うとニタニタしながら笑ったのだった。小バカにした感じで言われるとギュータスは一瞬、ジャントゥーユのことを殺してやろうかと怒りにうち震えた。しかし、こんな奴に先に手柄を取られたくなかったギュータスは、ジャントゥーユの前で下手に出ると巧みな言葉で紙切れを奪い取ろうとした。