孤独な少年
町外れの小高い丘に住むのは、裕福な家柄の少年だった。両親が死んだあと、わずか10歳で莫大な家の財産を引き継いだ。
その莫大な財産を目当てに誰もが少年に近づいてそれを欲しがった。でもいくら周りが少年を誘惑しても、彼はそれに惑わされることはなかった。そして、少年の周りからは友人や知り合いが一人二人と減っていき、ついには少年は独りぼっちになって周りには誰もいなくなった。
少年は亡き両親が死んだあとも丘の上に建てられている屋敷に一人住み。やがて幼い少年から青年に成長した彼は、誰もが羨む程の美貌を持ちあわせた美少年へと成長したのだった。
その青年の美しい顔をみたさに街に住む女性達は誰もが彼に憧れと恋い心を抱いた。でも、青年は誰とも顔をあわすこともなく大きな屋敷に閉じ籠ったきり、外には決して出ようとはしなかった。
太陽の日にあたらない彼の肌は白く透き通り、その色白さが青年をより一層美しい姿に変えた。青い瞳はサファイアのように美しく、その瞳は穢れを知らず。表情は凛々しく、気高さに満ち溢れていた。
彼は美しいブロンドの髪を風に靡かせながら窓辺の椅子に座り、開け放たれた窓の外を静かに眺めたのだった。
屋敷に仕える使用人達でさえ、主の顔をみた者は僅かしかいなかった。天涯孤独の身となった彼は、亡くなった両親のことを思うとその寂しさと孤独を紛らわすために骨董品収集と言った趣味に溺れていった。