第11話 此の国の神殿にて……(2)
女王アイカ自身を名指し、指名──。自分自身を奪いにきたと。この神殿の外でワッ! ワッ! と、騒めき、喧騒をしている声……。
そう、やっと自身の主、夫、健太からの信用の方も戻りつつある自分自身……。毎日でないにしても、数多くの寵愛を受け、夜伽の相手。尽くす数も増えてきて、元の位置──。皇帝健太の妃としての立場。序列の順位の方も確実に上がってきている。幸せの最中の女王アイカの許に。自分自身を奪いにくる。きた者は誰なのだろうか? と、女王アイカは思いつつ。自身の大きな笹耳をレーダーの如く、『ピクピク』と動かしながら。外の様子──。会話。雑音。喧騒を注意深く、聞く耳立てながら聞くのだ。
神殿の外でどんなことや、自分自身を奪いにくるとは、一体どう言うこと? と、言うよりも。自分自身を神輿、旗頭として担ぎ、皇帝健太。自身の主、夫に対して謀反。反逆を企てようとしている者達を指示している者は、『誰なの?』と、女王アイカは思いながら窓の外へと聞く耳を立てみるのだ。