第11話 此の国の神殿にて……(1)
「うぉ、おおおっ!」
「わぁ、あああっ!」
「いけぇ、えええっ!」
「行くんだぁあああっ! 皆ぁあああっ!」と。
多数の者……。
オーク種族のアマゾネスではなく、男達……。漢兵達のワッと、した騒めき、喧騒が多々聞こえてくる。くるのだよ。柵の張ってある窓から外。窓から空を見上げ、流れる雲を呆然と見詰めながら。いつくるか、来訪をするかわからない主! 夫! 二国の王である可愛い王、王子さま、健太がくるのを、首を長くしながら待つ。監禁をされている此の国の女王アイカ……。
そう、彼女は、二国の男王。皇帝健太の逆鱗に触れ、一時は此の国の女王の立場を剥奪されて、只の裏切り者、不倫、NTRを王以外の男にされ受け入れた。異性に対して直ぐに淫らになる。堕ちる。だらしのない妃としての烙印を押され、侮られていた、健太の妃の一人。それも末端の立場へと降格をしていたのだが。彼女の過去を思い出してもらえればわかる通りで。
此の国の女王アイカはそもそも浮気、NTRに遭う。了承する気はなかった。なかったのに、あなたが、健太が、ちゃんと自分を側に置いてくれないから。あんな破廉恥極まりない出来事、邪な出来事。事件が起きてしまったのだと。
二国の皇帝健太が、夜伽の相手として尋ねる。訪れて、彼女を愛してくれる度に不満。愚痴を永遠に漏らし、呟きながら。夫に尽くしていると、いつの間にか寄りが、仲良くが、愛が激しくなり。皇帝の逆鱗も徐々に薄れ、元鞘に収まることができ始めた。
今日この頃の女王アイカ……。未だ完全に許しては、もらえないが、徐々に夫からの信用もとれ始め。一人寂しくなれば。
「あのひとは未だこないか~」、「はぁ~」と溜息。自身の肩を落としながら空を見詰めている最中の女王アイカの大きな笹耳──。
そう。皇帝健太が大好きで仕方がない。事あるごとに、甘噛みをして、歯を立ててくる。可愛い笹耳を、『ピクピク』動かしながら。
(何だろう?)と。
女王アイカは、自身の心の中で呟く。呟いていると。
「敵だぁあああっ!」
「敵の攻撃だぁあああっ!」
「狙いはぁあああっ! 女王アイカだぁあああっ! 女王アイカを敵は奪いにきたぞぉおおおっ!」と。