公爵令嬢アルーラ・ローズ
「ヤッター!念願の婚約解消よ!夢のスローライフよ!自由を掴み取ったわ!」
自室に戻った私は叫んでいた。
私の部屋はお父様の部屋からかなり離れているので大声を出しても大丈夫だ。
「あの外面だけは良い性根最悪バカ王子とも別れられるなんて最高よっ!ミレイユには色々奪われてきたけどコレで帳消しだわっ!」
この日を私はどれだけ夢を見てきたことかわからない。
「多分ミレイユは勘違いしてるよね、レイナルド王子が将来国王になると思っている筈よね、第2王子のリチャーズ王子が内定してるのにね」
そう、実はレイナルド王子は国王にはなれない。
性格に難あり、と国王から早々に切られていたのだ。
幼い頃から、ワガママで人の言う事を聞かず勉強嫌いの暴れん坊のレイナルド王子。
初めてお会いして第一声が『こんな地味な奴が俺の婚約者なのか?』と明らかに馬鹿にする様な態度。
この一言で私の敵と認定しました。
「そもそも王族の婚約者て簡単に交代なんて出来ないのに、ね」
私が国王様に言われたのは『レイナルドは公爵家に婿養子として送る。馬鹿な息子だが支えてほしい』とお願いされたのだ。
しかも結婚すれば援助もする、と言われていた。
その約束は果たしてミレイユに代わっても護られるだろうか。
「まぁ、もう私には関係のない話だからいっか」
そう言って私はいつでも出ていける様に荷造りを始めた。
「まだ学院生活は残っているけど卒業単位は取ってるし出席日数もあるし後は卒業式に出るだけだから問題無し」
貴族学院も卒業試験は終わってるし後は卒業式だけ、その後に卒業記念パーティーがあるけど婚約者ではないから出る必要は無し。
「そういえば卒業記念パーティーで婚約破棄をした、とかいう話を聞いた事あるけど……、婚約者じゃないし関係無いか」