パルマ生誕祭 お・し・ま・い
パルマ生誕祭も無事終了しました。
山のように準備していたパルマ生誕祭ケーキも、すっかりなくなった次第です。
あれだけ大量に予約が入っていますと、何個かはドタキャンが入ったり取りにこられないお客様がいてもおかしくないのですが……
この世界ではそんな人、1人もいませんでした。
えぇ、ただの一人も、です。
それどころか
「予約してないけど、買えない?」
「今から追加出来ないかな?」
そんなお客様が、コンビニおもてなし本支店ならびに出張所に殺到していた次第なんです。
ただ
この事態は予期出来ていましたので、
ケーキの追加作成係として、オトの街のラテスさんとヨーコさん。
オードブルの追加作成係として、僕と魔王ビナスさん。
この四名が本店の厨房にこもって対応にあたり続けていたものですから、どうにか追加注文もさばけた次第なんですよ。
ちなみに……
その追加作成した品物を、各地のコンビニおもてなしの支店と主張所に運んでくれたのはハニワ馬のヴィヴィランテスでした。
「まったくもう、パルマ生誕祭は家族でお家でのんびりすごす日でしょうに」
そんな感じでブツブツ言っていたヴィヴィランテスなんですが
「さぁ、もうついでだからちゃっちゃと全部出しなさぁい」
そう言いながら、どんどん運送していってくれたんです。
本店だけでなく、すべての支店と出張所がですね、予約品を受け取りにこられたお客様と、そのついでにお店で何か買って帰ろうっていうお客様が殺到したせいで、誰一人として手が離せなかった状況だっただけに、ヴィヴィランテスが運搬作業を手伝ってくれたおかげでホントに助かったんですよ。
ちなみにですね、すべての作業が終わった後に、
「ヴィヴィランテス、今日はホントに助かったよ」
僕が笑顔でそう言うと、
「まぁ、お店が繁盛するのはいいことなんじゃない?」
わざとクールにそう言ったヴィヴィランテス……なんですが……その背にですね、なぜかパルマ生誕祭ケーキの箱がのっていたんです。
「ヴィヴィランテス……それは?」
「な、何よ!? ちゃんとアタシが個人敵に予約した分よ! お金も払ったんだから別に問題ないでしょう?」
「いや、むしろそれぐらい言ってくれれば特製のケーキを無料で作ってあげたのに」
「ば、馬鹿言ってんじゃないわよ! これはあくまでもアタシが気まぐれに食べてみたくなったというか、コンビニおもてなしの売り上げに貢献してあげようと思ったっていうか……決してファニーと一緒に食べようと思ったからとか、そんなんじゃないんだからね!」
……って
そっぽを向きながらそう言うと、転移ドアをくぐってティーケー海岸へ移動していきました。
はい……ファニーが暮らしているティーケー海岸へ……
まぁ、なんといいますか……パルマ生誕祭ケーキじゃないケーキを頼まれる日も、案外近いんじゃないかな、と、最近思い始めていたりするんですけどね。
◇◇
そんな中……
当然、我が家用のパルマ生誕祭ケーキもしっかり確保してあります。
コンビニおもてなしの営業が終わりますと、みんなで我が家のリビングに集合しました。
この日は、ケーキ作りを手伝ってくれたラテスさんとヨーコさん、それにヨーコさんと一緒に暮らしているテマリコッタちゃんも同席しています。
「パラナミオちゃん、きたわ!」
「テマリコッタちゃん、いらっしゃい!」
テマリコッタちゃんとパラナミオは、笑顔で手を取り合っていました。
すっかり大の仲良しになっている2人なんですよね。
で
そんな一同で、ケーキと料理をいただいたんですよ。
料理は全部僕が作成しました。
惣菜や弁当をすべてお店で作成しているコンビニおもてなしですからね。
昔、このお店を将来継ぐかも知れないと思っていた僕は、元いた世界で料理学校に通ったりしていたおかげで、人よりも多少は料理が上手いといいますか……
そんな僕が作った料理を、パラナミオが
「パパの料理はおいしいれふ」
口いっぱいに料理をほおばりながらも、笑顔でそう言ってくれました。
それに続いて、テマリコッタちゃんも
「ほんとね。すごく美味しいわ」
と、笑顔で言ってくれました。
パラナミオとテマリコッタちゃんは笑顔でうなずき合っています。
子供達のこういう姿って、なんか嬉しいんですよね。
子供って正直といいますか、料理を美味しくないと思ったりすると、こういうときすぐに顔に出たりするじゃないですか。
でも、今の2人は満面の笑顔ですからね
そりゃ、嬉しくもなるというものです。
僕の隣に座っているスアもですね、食が細くていつもは小食なんですけど
「……うん、美味し」
そう言いながら、どんどん口に運んでいました。
◇◇
で……案の定といいますか
食後のスアは、お腹を抱えて横になっていました。
明らかに食べ過ぎです。
スアなら、魔法ですぐに改善出来るんじゃ……そう思ったのですが、そんなことを考えている僕に、スアは
「……せっかくの旦那様の料理……五臓六腑で味わいたい、の」
そう言ってくれた次第なんですよ。
なんか、その言葉がすごく嬉しかったんですけど……しばらく押し問答した結果、スアの魔法で、消化促進してもらった次第です。
堪能してもらえるのは嬉しいですけど、苦しんでいるスアはやっぱりみたくないですからね。
◇◇
スア製の転移ドアをくぐってオトの街に帰っていった、ラテスさんとヨーコさん、それにテマリコッタちゃんを見送った僕達は、その後すぐにお風呂に入りました。
当然、家族全員で、です。
湯船に入っている僕の横には、パラナミオが笑顔で座っています。
「パパと一緒のお風呂はやっぱりとってもいいですね」
先日、チウヤゲレンデに言った際には、一緒に入れませんでしたしね。
だから余計に嬉しいのかも知れません。
……しかし
我が家に来て成長し続けているパラナミオですが、いつまでこうして一緒にお風呂に入ってくれるんでしょう。
やっぱり娘と仲良くお風呂に入ってもらえるって、至福なんですよねぇ。
とにもかくにも、パラナミオをはじめとした我が家のみんなが
『もうパパとは一緒にはいらない』
って、言う日が来るその日まで、しっかり満喫したいと思います。
……あんまり来て欲しくはないんですけどねぇ……
◇◇
こうして、パルマ生誕祭は終了したわけですが……
コンビニおもてなしはまだまだ忙しい日々が続きます。
クリスマスならぬ、パルマ生誕祭が終了したら、今度は年越しです。
年明け早々のジュネの月の1日は、こちらの世界でも新年最初の日ということでみなさんのんびりなさるんです。
ですので、コンビニおもてなしでは、こちらの世界の正月用のおせち料理の予約販売もしているんです。
予約は、パルマ生誕祭関連商品と一緒に行っていましたので、すでに結構な数を作成して魔法袋に保存してあります。
「さて、明日からはおせち料理の最終作業を頑張らないと……」
僕はそんなことを言ったのですが……そんな僕の横にはやけに露出度の高いサンタ衣装に身を包んでいるスアの姿がありました・
お風呂の後
子供達を寝かしつけてから、ここ、スアの研究室にある簡易ベッドの上に移動してきている僕とスア。
まぁその……なんといいますか、パルマ生誕祭万歳ってことで、僕はスアに口づけていきました。
そしてゆっくりとスアの衣装を……
おっと、ここからは黙秘させていただきますね。
まぁ、もしこの世界にサンタさんがいるのでしたら、とりあえずコウノトリさんを手配してもらいた感じですかね。