溶岩
病原菌が体内に侵入したことによって、100日前後も足止めされることとなった。一年以内にクリアするという条件ゆえに、長期間のタイムロスは痛恨といえる。遅れを取り戻すために、ハイペースで攻略する必要性に迫られている。
次なるコースでは、ムンムンとした熱気を感じる。サウナに入ったかのように、体内から汗が滲み出ていた。
コースの中に溶岩が行き来しているのを確認。今度はマグマコースを攻略するようだ。
疫病の次はマグマの流れている洞窟かよ。こういうステージはゲームだから成立するのであって、生身の人間にプレイさせてはいけない。製作者側の明らかな悪意を感じる。
マグマによるものか、コースの温度は四〇℃をゆうに超えていた。鎧を着て歩けるような場所ではない。
クスリはしぶしぶ鎧を脱ぎ捨てた。防御力を犠牲にしなければ、前に進むことは難しい。
皮シャツも脱ぎ捨ててしまいたいけど、上半身を裸にするわけにはいかない。クスリはしぶしぶ着用することにした。
マグマコースに置かれている宝箱を発見する。これまでとは異なり、入手は容易だった。
クスリは宝箱を開けようと思ったものの、踏みとどまることとなった。電流ゾーンみたいに、罠を仕掛けられている可能性は十分にある。
宝箱の横にはスイッチらしきものも設置されていた。こちらを押すとどうなるのだろうか。
RPGでは人間心理を巧みについた仕掛けが多い。スイッチを押すことにより、攻略不可能なコースを作り上げているかもしれない。クスリはスルーすることにした。
マグマコースは立っていることすらままならないくらい暑かった。このままの状態を続けていたら、クリアをする前に倒れることになりかねない。
クスリの目の前に宝箱が現れた。本来ならスルーしたいところだけど、今回ばかりは空けようかなと思った。
「癒しの水を入手した」と表示された。どんなアイテムなのかを確かめるため、クスリは使用してみた。
「体内の水分が補給され、暑さに強くなった」と表示された。
癒しの水の効果ははっきりとわかる形で現れていた。先ほどまでは感じていた、熱をまったく感じない。鎧を着ても問題なく進めそうだ。捨てたばかりの防具を回収しようと思った。
二〇分前に置いたはずの防具は、どういうわけか消えてなくなっていた。クスリは別の鎧を着用することにした。