パパの攻防戦
パパさんはママの顔をチラリと見られながらゆっくりと話されました
ママさんは(ホー)と言われながら(言いくるめられないわよ、私は)と鋭い目をされながらパパさんをにらみつけられました
パパさんはゴクリっ、と生唾を飲まれながら冷静になって言います
(でね、俺はさ、少し考えたんだ、確かに部長の言葉にはいちりあるのかなっと、それでね、俺は部長に言ったんだよ、部長、そうですね、今まで私は子供の楽しそうな笑顔を作るためにプレステ5とソフトを買おうと思っていましたが、なるほど、必ずしも子供が欲しい物を買い与える事が良いとは限りませんね、本当に)
するとね、窓を悲しい顔をしながら眺めていた部長が少し笑いながら俺に言うんだよ
部長
(そうだね、ほそのくん、我々は家族のために、社会のために努力をして誰もが必死に進んでるよね、でもさ、たまに私の嫁さんに言われるんだよ)
ほそのさん
(なにを言われるんですか、部長)
部長はニヤっとしながらポケットからタバコと携帯灰皿を取り出して火を着けて吸ってから言う
(いやさ、この間ね、他の部署の部長たちと取引先の部長の方とさ、ゴルフに行ってから家に帰ったんだけどね、私がさ、一生懸命接待してから車を入れてドアを開けたらさ、妻がたまたまいてさ、俺に一言、言うんだ、あら、貴方、お帰りなさい、たくさん楽しんできて面白かったでしょう、私は今日も町内会で楽しくもないのに行ってきたわよ、たまには私も楽しい場所でも行きたいわ、あっ、お風呂沸いてますよ)
俺さ、そこ言葉を聞いた時、絶望を感じたよ、何でこんな事、言われなきゃなんないんだよ、つい、離婚を考えちまった、妻はさ、なんかその時、町内会の人とさ、うまく行かなかったのかも知れないけどさ、普通言うか、そんなこと、俺が呆然としてるとさ、二階から子供が降りてきてさ、言うんだ
あっ、パパ、お帰りなさい、ねーこの間言ったソフト、いつ買ってくれんだよ、友達とやるんだからさ、早く買ってよ、パパ、もーあいかわらず遅いんだから)
それを聞いてね、思わず自殺したくなったよ、俺の存在って一体、なんなんだろうって、本気でそのあと考えた
俺さ、毎日頑張ってんだよ、これでもね、だから俺は自分に価値があると思うものを一つは必ずしも買うことにしたんだ、ほそのくん、君さ、ゴルフの接待って好きなの)
ほそのさんはしばらくボーゼンとしながらハットして答えた
(部長、確かに私たちは家族の幸せのために、自分の幸せのために日夜、戦っています、私は自分の仕事に誇りを持ってます、接待は大切ですし、いろいろな方とお会いしてゴルフをすることは楽しいです、しかし、あくまでも接待ですから気が抜けません、そうですね、私の妻や子供がそんなことを言うとは思っていませんが、そういえばこの間、朝起きたら妻が言ってました、貴方、私は忙しいんだからゴミをまとめて持っていってよ、今日は仕事休みなんだから)
私は結婚したら家事やいろいろな事をやるつもりです、しかし、妻のあの一言はなぜか冷たく感じました
俺は一生懸命働いても実際、小遣いがそんなに貰ってはいないんです
それは子供もいますし、いろいろなお金もかかりますから、我慢していました、俺だってたまには欲しい物も買いたいですよ、でもね、妻は何かあったら困るでしょうって言うのが口癖なんですよ、結婚前はそんな人じゃあなかったのに
私はゴルフは大好きですし、昔から欲しかった物をがあります
そうですよね、たまには自分の欲しいものも買わなければならない時もありますよね、わかりました、部長、私も自分を大切にすることに賛成ですよ)
部長は寂しく笑いながら(そうか、そうだよね、たまにはね)
と言った