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124 サーヤがお昼寝してる頃

さて、サーヤがいなくなった広場では…すでにお疲れ気味な大人組が

〖それにしても、今日はまだ半分なのよね?色々ありすぎるわ。朝の騒ぎに、魔力操作の練習に、石探し…〗はぁ
ジーニ様が椅子にぐったりもたれかかってます。
〖あ~も~〗ぐぐぐ~
あっ今度はのけぞって体を伸ばしてます。

『ほんとにねぇ。バートがモーモーのおじさんと、動物たち、獣人の子を連れてきて、サーヤたちも泉の子たちにケルピーたち、エンシェントスライムまで連れてきて。でも、名付けは私とはちさんとクモさんからよぉ』
精霊樹の精様がなかなか決まらない名前に少々やきもきしているようです。

『何となく、おじさんの名が一番先に決まる気がするがな』
アルコン様が言うと、それは確かに…と、みんな揃ってうなずいている。

『あと母グモは決まってるのではないでしょうか』
ギン様がそんな感じがすると言います。

〖なら、先に名前付けてもらって色々作っていてもらったらいいんじゃない?ちびっ子同盟の布団とか。早急に必要よ~また明日ああなったらねぇ〗はぁ。
ジーニ様、今度は眉間を揉みながらため息。
『アレは大変でしたね』はぁ。
朝から疲れました。というギン様
『まったくだ。どうやってああなったんだ?』
訳分からんっと頭を抱えるアルコン様。
『しかもまったく離れなかったしねぇ』
不思議よねぇ?と首を傾げる精霊樹の精様。
あれは朝から参ったと話す四人に、朝はまだいなかったモーモーのおいちゃんが興味を示した。

『なんだ?朝何があったんだ?』
〖それがね〗
『朝、サーヤがねぇ…』
ジーニ様と精霊樹の精様が朝起きたらサーヤがちびっこ同盟に張り付かれて埋まっていたことを話します。
『起こしに行ったフゥとクゥが叫び声を上げても起きなかったしねぇ』
〖あの二人が一番気の毒だったかもねぇ〗
しみじみ…

『そんなことが…さすがサーヤ寝ていても引き付けてしまうんですね』
と、バートが頷くと他のみんなも頷く。そんな中、ひとり違う反応を見せたのがモーモーのおいちゃんである。

『わははは!そりゃ大変だったな~。でも、それは多分それぞれの本来の寝方に合わない寝方をしたのも原因だな。いつもはどんな寝方をしてるんだ?』
動物はそれぞれの特性にあった寝方をするはずだからな。というおいちゃん。
『まあ、確かにそうだな。我も気に入った寝床を探すのは苦労したからな』
『わたしも寝床に敷き詰めるものなどはこだわりますね』
アルコン様とギン様がその通りだと言う。
『なるほど』
うんうんと納得するバートさんに
〖ええ?そうなの?〗
布団が気持ちいいなら大丈夫だと思ったと驚くジーニ様。

『みんなぁ、いつもはどこでどうやって寝てるのかしらぁ?このおじさんに言ってねぇ』
精霊樹の精様がいいこと言った!と思ったらおいちゃんに丸投げした!

『へ?まあ、いいけどな』
そう言うとおいちゃんは一人一人にいつもどんな所でどんな風に寝ているか聞いていく。
『うんうん。サーヤの昼寝は…話を聞くとかなり大冒険したみたいだからな?だいたい二時間くらいか。長い昼寝は良くないけど、今日は仕方ないな。なら…よしちびっ子同盟、その間にお前たちの寝床の材料を探しに行くぞ』
一通り聞き込みをしたおいちゃん。一人ぶつぶつ言っていたかと思ったら、いきなり早速材料を集めに行こうと言い出した。
『ぼくたちの~?』
ハクはしっぽをふりふり。やる気を見せているが、

ぴゅきゅ『『サーヤと一緒でいいのにぃ』』
双子は不満げ…でも
『いや、ダメだろう』
朝、双子を引き剥がせなかったアルコン様がダメ出しをする。
ぴゅきゅ『『おとうしゃん…』』
うるうる…必殺うるうる攻撃!
『うっ そんな顔してもダメだ』
アルコン父さんは辛うじて威厳を保つ
ぴゅきゅ『『ぶー』』
ほっぺた膨らましてブー。
『サ、サーヤの真似してもダメだ』
アルコン父さんまだ頑張る。
ぴゅきゅ『『ぶーぶー』』
双子はついにアルコンに背中を向けて石を蹴る真似を始めた
『うっ そんなことしてもダメだぞ』
アルコン父さんの限界は近い
ぴゅきゅ『『ぷんだ』』
極めつけの必殺!お父さんなんか知らないよ攻撃!
『モモ、スイ…』がくぅ
アルコン父さんの威厳はどこかへ旅立った。パタパタ~

『あらあらぁ~』
〖エンシェントドラゴンも子供の前だと型なしね~〗
精霊樹の精様とジーニ様が笑っている。

『わははは!まあまあ!とにかく行くぞ!妖精トリオまずはカゴを編むから、蔓性の植物探してくれるか?細すぎず靱やかなヤツがいいな』
おいちゃんが注文を出した。
『わかった~』
『おまかせ~』
『みつけるよ~』
妖精トリオはガッツポーズをしてみせる。やる気満々。

『フライ、フルーも頼むな!蔓性の植物は美味いもんがついてることもあるからな!』

『本当!?』
『分かった!』
巣の材料よりおいしい物を探す気満々!

ぴゅいきゅい『『おいしいの?』』
美味しいの言葉にアルコン父さんで遊んでいた双子が反応。

『我は子らに遊ばれていたのか…』がくうっ
『アルコン様、お気を確かに』
落ち込むアルコン様をギン様が必死に慰める…威厳さんは完全に家出した…
そんな二人は放っとかれ
『おやおや、モモとスイはなかなかやりますね』
え?双子はバートさんに見込まれた?

『おう!もしかしたら美味くてサーヤの体に良い奴が見つかるかもしれないぞ』ニカッ

『お~探しに行こう~』
ぴゅいきゅい『『行こう~』』
おいちゃんに上手く乗せられたちびっこたちは元気いっぱい!やる気満々!

『よしよし、ついでに香りのいい花があったら集めてくれな。あとでいいもん作るからな』

『『『わかった~』』』
『『頑張ろ~!』』
『お~!』
ぴゅいきゅい『『お~!』』
おいちゃんは完全にちびっこ同盟を手懐けた!

『すごいわね~』
〖上手いわね~〗
『アルコン~、ギン~』
〖見習わないとね~〗
『『はい』』
精霊樹の精様とジーニ様がとどめの一撃。自信喪失なお父さん二人…
『哀れですね』
バートさん、それ以上は…

『みんないってらっしゃぁい』
〖気をつけるのよ~〗
『行ってらっしゃいませ』
落ち込むお父さん二人は放ったらかしで女性陣とバートさんがお見送り。

『は~い』
ぴゅいきゅい『『いってきま~す』』
『『行ってきま~す』』
『『『きをつけるよ~』』』
『じゃあ、行ってくるな!』
元気よく森の中へと消えていった。

手を降って賑やかな一行を見送った面々は
『ジーニ様、先ほどのサーヤの記憶ですが』
バートが切り出す。楽しい記憶ならともかく自分たちが熊に襲われた怖い記憶を思い出したサーヤ。
『他の記憶も戻ったってことぉ?』
一転、真剣な顔で話し出す。

〖分からないわ。だけど、あくまでおばあちゃんと一緒の時の記憶だと思うのよ〗
ジーニ様は主神とシア様が必死にかけた魔法が不完全とはいえ、そんな簡単に破れないだろうと言う。

『そうですね、今のところ必ず「おばあちゃんと」がついてますからね』
ギン様が思い出しながら言うと
『それにぃ、今回に関しては熊に襲われた怖さより、あのおじさんが強くてかっこいいって良い記憶が勝ってたのかもしれないわよぉ』
おめめキラキラだったものぉ、と、精霊樹の精様が言う。
『そうだな。この先もそれで済めばいいのだが…』
アルコン様が心配をする。

〖そうね。これから先、嫌な記憶を思い出さないとも限らない。だけど、思い出した時に、私たちがいるから大丈夫だと直ぐに分かってもらえれば、きっと大丈夫〗
ジーニがぎゅっと手を握りしめて言う。半分は自分に言い聞かせるように…

『そうねぇ。そのためには色々備えないとねぇ』
『ええ。今はできることから始めましょう』
『まだ始まったばかりだしな』
『もちろん、天界からもできる限り協力させていただきます』
改めて、気を引き締め決意を新たにする面々だった。

その頃サーヤは…
「ぷひゅ~」
ポンポンしてくれていたフゥとクゥの服を掴んだまま寝ていた。
『どうしよう』
『ビクともしないな』
『動けないわね…』
『まさか自分たちが』
『朝のサーヤ状態になるとは』
しかも顔を突合せてコソコソ話してる時に掴まれたから、さあ大変。

むにゃむにゃ「うへへへ~」

『『はあ~ぁ』』
どうしよう…

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