第15話 勇者の気落ち、落胆。涙……(3)
それも? 僕自身の顔を『ニタ~』と、大変に緩めながら笑みを浮かべる。浮かべるのだが。この時の僕の顔と笑みは、大変にエッチ、スケッチ、ワンタッチと、台詞を漏らしたくなる程の笑みを浮かべる。……だけではいか? 『して、やったり、やったりだよ。僕は。僕はね。だってさ、この世の者ではない程美しい。宇宙人さんこと、エルさんを自分の物……。古の英雄達や世界各地の古、伝説の皇帝達と変わらぬような美女を完全に手に入れた! 己の所有物にしたのだから歓喜! 歓喜だよ! もう僕自身の顔は緩みっぱなしだよ。両目の端だって、垂れた目尻が直らないぐらい嬉しい。嬉しくて仕方がないのだ。
だって? 僕のエルさん……。いや、エルを。エルのことを僕はもうすでに妊娠をさせて己の子を身籠らしたと言うことだから歓喜! 嬉しさがとまらないことは……と、僕自身が脳内で思ったところで。
「あっ? ど、どうしよう? どうしようか? 僕は大変なことを……。大変なことをしでかしてしまったようだ……。一体どうしたらいいんだろうか……?」と、気落ち、落胆をした声音で台詞を漏らす僕だ。僕なのだ。
それも? 誰に告げる。呟く。嘆いていいのかわからない言葉と台詞を。僕は己の瞳を濡らしながら呟いたのだ。と、同時に。僕の顔の上に『ポタポタ』と滴……。
それと? 「ううう……」と、エルの嗚咽と啜り泣き声が僕の顔の上、頭上から聞こえてきたから。
僕はエルに「ごめんね。エル……。本当にごめんなさいと……」と、何度も謝罪をした。したのだ。
僕とエルとの最初の子供の命、魂を奪い。蘇生をした僕だから。僕は泣き崩れはじめる妻に何度も謝罪をした。したのだった。許して欲しいから。