第4話 アイカの不満(28)
そう、彼女は、女王アイカは、己の今の立場と地位を、己の力と努力──。
今の二国の男王、征服者。覇王である健太へと、己の身を犠牲にしながら。王へと心から尽くし、奉公、尽力、努力を惜しみなくしながら尽くして、健太の持つ、他の妃達……。男王を慕う今までいた妃達や、新たに加わった妃達よりもぬきでる。ぬきでて。二強若しくは? 東、西太后殿下と呼ばれる地位まで手に入れたのだから。
彼女は?
そう、女王アイカは、元カレ、婚約者、主、夫、漢王だった。近かった者であるウォンには悪い。大変に申し訳ないとは思う。思うから。
此の国の女王アイカが元愛した男性(者)へと。このように、己の紅玉の瞳を濡らし、嘆願、乞うてみせるのだが。やっと自らの力と努力で手に入れた現男王である健太からの厚い信頼と愛情は失いたくはないし。己の今の地位と立場も失いたくはない。ないのと?
此の国の女王アイカにも野心と野望がある。あるのだ。